◯夢を実現する方法。
気がつくと、早や一週間が経つ。
その間のことを思い返す。
現在取り組んでいるある企業インナープロモーションプロジェクトのために、プロモーターと名付けたスタッフ育成と、その現場の立ち上げに東奔西走の出張続きだった。
その合間に連日オフィスで会議と共に、新たなメンバー4名の育成トレーニング。
用意したプロモーションスクリプトとPPTの画像+VTR映像を用いて、いかに自分自身の理解を深め、自分自身の心と言葉で語り、人の心を動かすかを求める。繰り返し、繰り返し、シミュレーションしながら、不明瞭である未明の点をひもといてゆく。
頭で理解するのではなく、身体が反応して、声が響き、振舞いが的確に真と芯を得ていただけるまで、ダメだしを共有してゆくプロセス。メンバーは、皆「この仕事の機会を通じて、自分自身を高めたい」と望んで出願された方々、お互いにより高め合えるように真剣勝負で準備に臨む。
「今の言葉は、曖昧に聞こえましたが、何を意図しましたか?」「その言葉の意味は、ご自身でどのようにつかめていますか?」「今、何を考えてトークしましたか?」「集中して聴き手に伝えたいことのエネルギーが伝えられたと実感できますか?」
繰り返し、繰り返し、尋ねる。的確な答えを求める。更なる先に光を求めて、中途半端を許さずに、そのような場を共有してゆくと、だんだんスタッフは光りだす。その域に達するまでは、両者ともに、ひたすら辛抱が肝心だけれど、その域を超えて、呼吸が楽になる時が必ず来る。20年来のトレーニングの場で、実感してきた。人を伸ばすための極意は、その学習の平原(プラトウ)を実感できるように導くことだ。まだ目に見えない自分の中のあらたな体験と対峙しつつ、不安とともに、ひたすらに山登りを続ける感覚に近い初盤から中盤を抜け、いよいよ自分自身のこれまでのあり方の強みも弱みもみえつつ、それでも息も切れ切れに登り続けた先に、その目の前が、ぱーっと明るく清生と広がってゆく快い感覚がある。それを一度体験すると、誰でも、自分自身の確信と自信のありどころがわかってくるものだ。そのような経験は、ある程度追い込まれた先にオトヅレル。
ニートという人達、フリーターという人達のことが、日々の新聞にも取り沙汰されるけれど、そのような喜びをどのような職域でもよいから体験してみる機会を、適正に付与される社会システムが必要だと思う。これまでの過去の社会の何かのひずみの結果を正直にあらわしているにすぎないなのであって、(想像できる根本原因は、ある程度察するけれど、)自らの確信と新たなことの発見の驚きと喜びによる、自己尊重にさしかかる機会が必要だ。自暴自棄、自己放棄の背景には、必ず慈悲の不足した何かが存在するように思う。未来への夢がなければ人は、今を生き抜くエネルギーを持ち得ない。社会の坩堝において、生命力が低下する理由は、植物と同様に、光のあたり方、光の求め方が不足している、もしくは光が見えにくい環境がありうるように思える。
それにしても、日々成長を遂げてくださるメンバーは、心強い。昨年の5月からプロモーター育成に参画してくださったメンバーも、今や15名を数える。根をしっかりと張り、さまざまな環境にあっても、つねに根幹をまっすぐに、光を求めて笑顔で華を咲かせてくれるようになった。人の心を溶かすには、北風よりも太陽が必要だ、そのような現場感覚のなかに会って、常に笑顔を絶やさず、振舞い健やかに、愛語の精神を保って、全国を飛び回ってくださっている。
でも、時には気力も体力も尽きるときだってある。だから、メンバーから寄せられる声は、切実だと思う。「どうしたら精神的にいつも安定していられますか?」「どうしたらもっとパワフルになれますか?」「もっと自分を磨く方法はありませんか?」
そこで、今年は、パワーアップしていただくためのワークショップを月一回ほど定期開催できるように工夫しようと考えた。
昨晩は、その第一回。集まれるメンバーに声をかけて「夢を実現する方法」と名付けて2時間のセッションを実施。
手法はアートセラピー。定期購読しているSEVEN SEASの豪華グラビアを存分に切り取って、自分自身の心ひかれるコラージュを作成していただく試み。アートセラピーは、13年程前にマスターした。ユングのアーキタイプを活用しながら、潜在意識を意識化して、リアリティを高める手法である。
一冊づつの冊子を、直感的に選んでもらい、そこから気になるもの、内なる魂が共鳴するような写真や絵や文字など、どんどん切り抜いて手元に引き寄せ、それを画用紙にレイアウトして、最も気分がよくなる配置に整えてゆく。

そして、メンバーの皆さんの作品を、分析コメントした。
一人一人が内に抱く夢ーその夢は無数にあるけれど、どれも愛おしくて、どれも尊い。
力まず、自然に、日々の活動を歩んでいるうちに、意識化したものたちは、必ず寄り添ってくる。
自分の心に正直になって、心の思いやその姿を形にすることで、人は、自分自身に了承を与えて、先に進むことを許してゆく。
不思議なのは、不思議というよりも必然として、たまたま選んだ冊子なのに、そのなかにこそ、その人に今まさに重要なメッセージや形やシチュエーションが用意されていたという事実だ。誰もが、その不思議さを楽しんだ。
脳の仕組みは、喜びとともに自らの選択という肯定的な環境で形が与えられたときに、それを必然と付与する力を持つように思える。それをうまく活用してゆければ、よりパワフルに豊かなイマジネーションとクリエーション、生きる力が与えられるように実感した夜だった。雷が鳴り、光が天と地をつなぐ夕刻のお天気だったのだけれど、皆、傘をさして集合してくれました。

この季節には珍しい雷雨で迎えたセッションは、何かを洗い拭って、とても清々しい精神の宿り木となるひとときへの誘いのしるしだったのかもしれない。光と音連れと共に。