Saturday, June 27, 2009

◎Colorado・El dorado

早くも今年も半年が廻り行く。
大祓も近い。
日々瞠目のスピードで事々が動いてゆく。
またもやなかなかBlogにまで手が届かない
Macのデスクトップ上にマルチタスクのファイルが席巻する日々。
4月にも同じことを書いている。

http://mcplanning.blogspot.com/2009_04_05_archive.html#2075161141241258886

あっという間に2ヶ月が過ぎ行く。
どれだけの進歩があっただろう?と自問自答する。
あいかわらず心もとない。

でもあふれるほどの幸福に満たされている。
ぐっすりと眠る時間にはあずかれなくても
たっぷりと人と集うことの感謝に溢れることが
どんなに心身の栄養になることだろう。

先月5月には、米国Colorado へ。
LISA VOGT『White Gift』の写真展開催をご要請いただき
遠く雪をいただく美しい山の麓をめざすこととなった。



東京から数々の写真作品は送付していたのだけれど
たいせつなシロクマくんは手荷物でフライト同行するから
それはけっこうな大荷物になる。
でも旅慣れたリサはいつも軽々と
「平気!平気!」とばかり
ぱぱっとまとめてすたすた歩いてゆくから見事だ。



デンバーの空港からはロングドライブ。
積み込みの段取りのよさはプロ級。
きっちり要領よく軽々とまとめあげてにっこり。
運転も楽々、たいへん頼もしい。





どこまでも静寂に包まれた夜空に星が溢れる深夜
Crestonという聖地の入口に指定された宿に到着すると
エキジヴィションの案内のポスターに迎えられ
部屋には私たちへのかわいらしいGiftが届いていた。




デンバーから5時間。
心あたたまり疲れも吹き飛ぶ。

明日からの催事パンフレットも添えられている。
世界各国から集まる心優しい方々とのふれあいのなかで
リサがkeynoteをつとめるプログラムがしるされていた。
どきどきしながら眠る。

そして翌朝
ぼんやりと目醒め外を眺めてみると
そこは美しい山々に囲まれているのだった。



決して土は肥沃ではないけれど
草々がその生命力を保ち花開かせている。
その一途の輝きにはっと目が覚める。



そこには美しい青い鳥がいるのだった。
まるで空の色をうつしているかのよう。
しばらくの間首をかしげて愛らしい風情でこちらを眺め
そして一声ピッと鳴き声を聴かせてくれると
真っ青な空へ溶け込むように翔んでいった。




このCrestonという地は
地下にこんこんと湧く
巨大な水源がたたえられているのだという。
それゆえにこの一帯には美しい緑の木々が美しく風にそよぐ。
この広大な土地のオーナーで
叡智にあふれたある一人の女性が
この地に世界中の宗教が集うように
慧眼をもって世界平和を実現するべく
聖地創造をプロジェクトしたのだという。
そこに『White Gift』の写真集が契機となって
今回招かれることになったことには奇縁を思う。

「美しいものを見ること」を諭す教えを守る方たちに
『White Gift』の写真集を愛おしんでいただけることに
感謝と共に私たちの心も高揚してゆく。

ギャラリーのしつらいを確かめに行くと
すでに東京から送っていた作品の数々を
プランシートどおりに
きっちり寸分の狂いなく
丁寧にセッティングしてくださっていた。





これまでの東京ーニューヨークでのエキジヴィション開催の際の
世界中の子どもたち・大人の人たち
皆様から寄せられたメッセージも展示した。
そこに今回のColoradoの開催でいただくメッセージをさらに重ねて
心通わせる和の輪を尚一層広げてゆきたいと願う。

このセッティングをしてくださったのは
この地に住み世話役をなさっている
フォトグラファーのビルさんだった。

彼が自宅へ招いてくださり訪問すると
お宅はアドビ建築で
とても心地よいやわらかい空気が室内に満ちている。
彼自身がこの家を最初の基礎から築いたのだと聞いて
たいへん驚いた。



その家は「ストローベイルハウス」といって
藁のブロックで出来上がっている。
数年をかけてひとつひとつを丁寧に構築されたのだという。
それは世界の代表格の見事な仕上がりとして
写真集にも記録が綴じられている。




室内のすみずみにまで
てづくりのこだわりがあふれていて
夢のような邸宅はその家主の心の反映だと
感激して拝見していると
「ほらね、これが証拠。」と
笑ってちいさな窓を見せてくださった。



確かにそこは藁の家。
内部構造が覗けるようになっていて
3匹の子豚くんたちの藁の家は
オオカミくんに
ふーっとばかり吹き飛ばされたというけれど
いえいえ
この家はしっかりと大地に根ざして逞しい。
数年の試行錯誤の繰り返しの
ものづくりの鍛錬の果てにうまれた
創り手の愛と志に包まれている確かさが伺えるのだった。

自らの家を自らの手で創り出す。
そうそう誰でもできることではないけれど
Creston の聖地は
そのような美学を日常に研ぐ人たちが
輝くばかりの山々の美しさを懐に
日々大自然が見せゆくうつろいを視座に据えながら
住まうところなのだと教わった。

そのような大きな感動をつくづく胸にあたためて
いよいよシロクマくん
リサと共に出動!




会場に到着すると丁寧なエスコートをしていただく。
スタッフの方々はどなたも親しみがあって礼儀正しく
心優しい。





全体進行のディレクターを務めてくださったマシューさんには
とりわけお世話になった。
実に切れ味のよい迅速・確実・卓見の仕事をなさるので
ふとこれまでの経緯を仕事合間に伺った。

長い間ニューヨークで敏腕ビジネスコンサルタントとして
仕事を重ねて来られたのだった。
けれども仕事をすればするほど現代の資本主義的競争社会が
ほんとうに人を幸福にさせるのか
よりよい未来をもたらすことになるのかと
大いなる疑問を抱くこととなったのだという。

そしてしばらくの間
心の旅を続けるうちに答えを見つけたという。
それが今回私たちを招いてくださったグローバル組織が教義とする
「MAKOTO」との出逢いであったのだという。

真・信(まこと)の心。
それなくしては何においても成功はなく
まさに理(ことわり)のもととなるものだと諭されたのは
日本において飛鳥時代に聖徳太子が定められた憲法十七条。
そのような真義をCrestonの地で
アメリカ人のマシューから聴くことになるとは
思いもよらなかった。

そのマシューが司会進行を行なう
いよいよkeynoteの開始を迎える。

会場に入場。大きな拍手に迎えられる。




ステージに着席すると
リサの挨拶がはじまる。



この日リサは英語と日本語のバイリンガルで
交互に逐次通訳式にソロ講演した。
倍々のエネルギーを費やしたはずだと思う。

しかもこのオープニングに思いがけないことが発生した。
リサのプレゼンテーションPower Pointがどうにも立ち上がらない。

昨晩同じ場所でリハーサルを行なっていたときから
今朝方に接続変更がされていて何かが起きたようだった。

リサが手元のMacで問題解決にのぞむしかなく
「Well ・・・」と言ったまま黙り込んでしまって
手元でかちゃかちゃしている。

その間シロクマくんはどきどき・・・・。

遠くでMCのマシューが映像トラブルを告げていて
復帰まで少々お待ちくださいと言っている様子がうかがえた。
そして今日のCrestonはほんとうに美しい天候に恵まれ
花が咲き鳥や蝶が舞い風が心地よく吹き渡り
すばらしい自然に包まれている恩恵を与えてくれている・・と
一編の詩を読むかのように
会場に人たちに語りかけてつないでいるようだった。

実はシロクマくんは目がほとんど見えていない。
中の熱気ですぐに目元が曇ってしまう。
しかも音声も身近に迫る距離であればよく聴こえるのだけれど
遠くからの音は遮蔽されてほとんど耳も聞こえていない。

それだけに
このようなシロクマくんになっていると
たいへん想像力が逞しく研ぎ澄まされていくことを知った。
全身の神経を集中させて勘に頼ることしかできず
また近くにいる人に支えられて
その存在を保ち行動することができているのだという
妙なる仕掛けを心底切実に感じ取ることとなる。

今までに使っていなかったセンサーが動き出す感覚が
得られるものだ。

15分ほどの時が過ぎていった。
気が気ではなかったのだけれど
隣に感じる気配では
リサの席に会場から何人もの人たちがヘルプに来ているようだった。

客席からは突然
何人もの人たちがシロクマにHUGをしに来てくれた。
後で聞くとMCのマシューが先頭きって
「シロクマくんのBIG HUGは私たちをこんなに幸せにしてくれる!」
と最初にシロクマをHUGしてくれたのだそうだ。



映像が出るまで
誰もがあたたかいHUGのエネルギーを分かち合ってくれた。
不思議なものでいつのころからか
シロクマくんはHUGすることで
その人のエネルギーを感じ取るようになった。

身を固くして近づいて包み込まれる人
優しく柔らかくこちらを包み込んでくれる人
アグレッシブでパワフルな人
ソフトでナチュラルな人
さまざまなエネルギーがつぶさに感じられる。

私たちを招いてくださった会長とHUGしたことを知ったのは
後になってから。
例えば4歳から6歳ぐらいの女の子のような
心弾むあまりにもピュアなエネルギーを感じた。
その不思議な感覚をリサに伝えたら
その方が会長だったという。

シロクマくんも嬉しくなってキューっとHUGをする。
皆さんが「ありがとう」「Thank you!」と声をかけてくださる。
その瞬間の純粋な声の響きが嬉しい。
その幸福!
ある目に見えないものを体感として共に分かち合う。
感謝に満ちた純粋贈与ーお互いに贈り与えられる互恵。
Pure Giftが成立する瞬間。

そのムードがひろがったからなのか
客席の誰かが
「私はここで歌を唄います!」と言って
しばらく優しい女性の声で
流れるようなメロディーに詩をのせて
口ずさんでいるのが聴こえてきた。

うっとりとする瞬間。
思いがけないトラブルやアクシデントが
こんなにも豊かな恩恵を与えてくれる契機にもなるものだ。

しかしながらふと現実に戻る。

ああ、それにしてもこの流れはいったいどうなるのだろう?
リサの声はまだ聞こえない。

シロクマくんのドキドキもいよいよピークに達して
「リサ、お願い!ともかくもお話して!」と
強くシロクマの中の心の中で叫んだとき
「Wow! You are Genius!!
OK! We are back!」というリサの澄んだ声が響いた。

客席から駆けつけた何人目かのMac Geniusが
最終的に修復を実現してくださったのだった。

それからのリサのトークは冴え渡っていた。
シロクマくんもリサの隣で
その後の無事を祈るばかり。





その後の写真展でも多くの方々がお声をかけてくださり
そしてBIG HUG!を重ねる。








気づけばこの日
3時間30分間シロクマくんは連続して休みなしで頑張り抜いた。
緊張があったためなのかColoradoの乾湿の気候のおかげなのか
Crestonの人々との交歓のエネルギーのすばらしさだったのか
最長記録を大きく更新!

宿に戻ると
まだまだ出逢いが待っていた。

突然シロクマをみつけて
だーっとすごい速さで遠くから走り駆けつけて来た旅人。
今回のカンファレンスにはるばる日本からやってきたご様子。
「わー・・・シロクマやあ!わあっ!ウレシイワア!!」とばかり
関西弁の日本語と共にどんとHUGして来たから
もうちょっとで倒れそうな勢いだった。
ぶんとHUGしたまま抱きかかえられて持ち上げられたから
びっくりシロクマ。
このちいさなひとのどこにこんな力が秘められていたのだろう。



そして路上に車が一台通りかかった。



わざわざ車から降りてきて
「Thank you・・・」と手を合わせてくださった。
とてもCalmなエネルギーを感じる人だった。



シロクマはこれからもリサと共に
世界中の人々との出逢いに恵まれて旅してゆくかしらん?



長い一日だった。
夕刻晩餐会にお招きいただき自然農法の美味しいお食事をいただき
屋外でリサの取材。



「どうして北極グマの写真を撮るようになったのですか?」
「自分の居場所を探していたからかもしれません・・・。」
「それで北極へ?」
「はい、北極は真っ白な雪に覆われたどこまでも静謐な世界でした。
 私自身が真っ白になってゆく思いがしたんです。」

そんな対話を耳にしながら
私もシロクマくんに包まれている時
そこに自分の居場所をまた見つけているのだろうなと感じた。
そこは目をつぶって純粋なものに触れることが許される世界だから。



リサの姿の向こうに遠く美しい山が幻影のように見えていた。
その山は実在していてWhite Mountainと名づけられている。



ネイティブアメリカンに平和のシンボルとして愛されている聖地で
司る神は「雷」なのだそうだ。
はじめて会長がその山を眺望していたとき
一天にわかに空かき曇りWhite Mountainに雷が閃いたのだと
教えてくださった。
それは天と地をつなぐ「雷」の天啓の意味をも含み
日本でも「神鳴り」という意味がありますねと会長にお伝えした。

心地よい夕闇の風に吹かれて
だんだんにあたりの気配が黄金色に輝いていく時空間。
それはまるで黄金郷に居るかのように思えるひとときだった。




ふりかえると刻一刻と輝きの気配が多彩にうつろう西の空。
天空に祝福の天使が舞うかのように
私たちの心の中にも黄金色に輝くばかりの思い出が満たされて
至福を味わうことを許される想いがする。

遥かColoradoの地にて
El doradoという幻の黄金郷を心の中に宿すことのできた
境界線が融けゆくスカイラインだった。




別れの時
『White Gift』をビルとマシューに深い感謝と共に
宿にそっと残して旅立つ。



また会う日まで。
つながりあう心の重なりあいをまた人生の経緯として
経糸・緯糸に編み込んでゆく日々。