Saturday, May 02, 2009

◎Gilt・Gift

前ブログに続き
もう少しNY滞在のことを振り返りたい。

The New York Palace の中庭には
Giltというレストランがあって
実に味わい深いひとときを過ごした。




Giltというのは
格別な美しい輝くばかりの薄い膜を張るGiftという意味があって
このレストランのデザートチョコレートは
美しい金のコーティングがなされているのだった。

http://www.giltnewyork.com/midtown-manhattan-restaurants.php

http://www.giltnewyork.com/photo-gallery.php

1880年代からマンションだったところに用意された
52名しか座すことのできないダイニングは
20世紀初頭の修道院の食卓時代から
その内装は何も変えていないのだと
プロフェッショナルな支配人に教えてもらった。

そのお店のコンセプトがふるっている。

TRADITION. REDEFINED.

支配人のたたずまいとホスピタリティがすばらしかった。

各テーブルをほんとうによく見ている。
そして実にタイミング良く粋な一言が添えられる。

「もう少々いかがですか?
 お客様のお好みに合わせてご用意させていただきます。」

その一言から次の対話がはじまる。

「まあ、どうしてわかるの?」
「もちろんです。
 お客様の笑顔を拝見できるのが私達の喜びだからです。」
「では、ぜひお願いします。」

一皿一皿がただ食事のための楽しみではなく
コミュニケーションの喜びに変化してゆく。

ワインについても
食材についても
その味わいについても
ともかくもよく熟知していて
けっしてゲスト同士の会話の邪魔にならないように
限られたわずかな言葉で
必要なエッセンスを提供されるから
思わず唸ってしまう。

それは何かをして喜びを差し上げたいという
相手の心を融かすマジックを充分に心得ていて
何一つの過剰も不足もなく
的確かつ適切に満足の高揚を生み出している。

よく見ていると
どのテーブルのゲストも
支配人の対話を通じてふっと笑顔がこぼれている。

支配人が見ているのは
まさにゲストの笑顔を
どのようにしてひきだすかなのだということが
よくわかった。

何かを確実に成すことの芯には
その信念があるのだと思えてくる。

日本のおもてなしの心は極めて特別なのだからと
Yokoso JAPAN!などで
観光国日本を目指す向きも見受けられるけれども
こと本質的なホスピタリティ度は
ものの筋を良く観察して
他者の喜びを創出する確実な対応を行なうことができる
プロフェッショナル精神にこそ要諦があるのだということを
忘れてはならないと思う。
それがなくては
日本のおもてなしということそのものが
フェイクにならざるを得なくなってしまうだろう。

そのプロフェッショナルホスピタリティといえば
The New York Palaceのホテルフロントの
レセプショニストのプロフェッショナルなはからいで
メンバーズクラブフロアーに通された。
その最上階フロアから窓の外を見下ろして驚いた。



お向かいのSt.Patrick's Cathedralの構造を
上空から見降ろすロケーション。
カテドラルの構造は精神性を高揚させる設計になっていることを
以前にOrb Conferenceで学んだことがあるけれども
向って左側の49th STREETと右側の50th STREETをはさんで
教会の中心の一筋を貫いて
その向こうにRockefeller Center
International Buildingが連なるグランドデザイン。
手前のPalaceの中庭に真直ぐエネルギーが流れて来るかのよう。







大聖堂の構造と
その内部の中空を想像する。
いつでもそこにはOrbが撮影されること頻繁で
The Orbs-japan.comの写真集でも
多くの撮影例をご紹介させていただいている。










リサのカメラ
私のカメラの両方に撮影される大聖堂内空間のOrbs。
この延長線上がNew York Palaceの中庭から
そのホテル内の中央階段に続いている。
リサと私と共に写真撮影したどの写真にも
連続してOrbがその道筋の延長線上に共に通過しているかのよう。





前ブログで紹介したリサと共に撮影した写真も
ちょうどこの通り道上にあることにあらためて気づいた。
その後も日を変えても昼も夜も
この通り道上では必ず撮影される。
この頻度はどうしたものなのでしょう。






Orbのことを考えるようになって
何が変化しただろうかと
あらためて考えてみる。

確かなことは
微細なことにもよく気づくようになった。
そして
価値観が大きく変化してきた。
世界観が大きく進化してきた。
幸福感が大きく深化してきた。

そのようなことをもたらしてくれたOrbとの邂逅は
この人生をよりアーティスティックに彩りを与えてくれるものだと
ほんとうにいつも感謝でいっぱいになるGiftだ。

このことを
より多くの大切な人たちと分かち合えたなら
尚一層幸せに思う。

でもそれは必然につながるものなのだろうと
静かに然るべき人たちとの出逢いと時機を待っている。

今回のNew York Palaceの滞在の
ちょっと秘密の写真もここに
Orbアーカイブの記録としてアップしておきたい。

Orbは幸福感に満たされている時に撮影されやすいのだけれど
この一連はその実証になるかしらん。

Metropolitan Museumで見つけたPop Up Bookに大感激した。
眠る前にその一ページ一ページを部屋で寛ぎながら眺めている時
小さな子供のようになってページを繰っていると
リサが大笑いして撮影した。

確かに気持ちは5歳くらいの頃に戻っていた。
その気配にやーっと近づいて来たかのように登場して
頭上にたゆたって共に覗き込むかのように
同定できる存在が左右にふんわり位置している。













Orbと共に
子供の心にわかがえる。
ときめきがよみがえる。
とっても気分がよい。

◎Green・Clean

今年も黄金週間を迎えて
ようやく平穏で静かなる時の中
庭にてガーデニング。
香りのよいローズマリーを寄せてみた。



思えば例年
庭の新緑が眩しい五月の薫風芳しくなる頃に
幸福感の中にブログもまめになる傾向。


自然の巡りのように
自分の廻りも見えて来る。

3月末には仕事都合でNew Yorkに短期間の滞在をしていた。
昨年末にLisa Vogt's Photo Exhibition "White Gift"という
リサヴォートのポーラーベア写真展を開催した。
その時に3週間ほどの滞在をしたから
今年の滞在は殊の外懐かしい気持ちがしたものだ。


今年は幸せなことに
Shumei Internationalの皆様のご尽力によるお招きで
同展を5月にCoroladoで開催することが決定している。

シロクマくんもビジネスシートをご用意いただき
同行出張予定。
黄金週間中にしっかり毛並みを揃えておかなくっちゃ。




今年あらためてNYに出かけた際に感じたことがある。
とても穏やかな空気感を思う。
人が優しくなったように思える。
街のリズムも緩やかになったように思われる。

なぜだろう?



ここは、かのリーマンショック後の世界金融危機をもたらした
リーマンブラザーズがあった場所。
ブロードウェイの中心に位置していて
夜中にも不夜城のように世界中の時間を映し出して
華々しいイルミネーションをぴかぴか展開していたものだ。

破綻後、そのイルミネーションはより穏やかになっていて
「よりよい投資を!」というサインが流れていた。

NYでみかけたウィンドウディスプレイ。



人は不変の価値に還ってゆくのかなと思う。
愛という普遍の安心の巣に帰ってゆくのかなと思う。

Back to Basics.

不況という言い馴らされた言説などに惑わされることなく
街中の人たちはより賢明に基本に立ち返り
ものの真価を吟味しようとしているように感じる。

だから賑わう店とそうでない店の見分けがつくようになった。

金銭本位の経済合理性だけではない
琴線本意の心理と真理の合理性。

ものの源流をたずね原点をたどり真義をつかみ選択をする。
明らかに今の時代は
私達の精神進化・価値深化のチャンスであることだ。

未来から現代を振り返った時に
きっと私達のこの時代に起こったことは
ブルーカラー(肉体労働資本)から
ホワイトカラー(知識創造資本)へ。
そしてグリーンカラー(自然緑化資本)
さらにクリーンカラー(環境浄化資本)という
一層の広義の意味で
幸福と自然と平和の象徴へと
一歩進んだ産業構造と意識構造の変化を辿る
マインドイノベーションが生じたことだと
明らかに気づくことだろう。

そうあってほしいと願いたい。

米国はオバマ大統領就任後
グリーンニューディール政策を支柱に据えている。
ファーストレディのミッシェルさんが
ホワイトハウスではじめておこなったことが
近くの小学生達と200ドルの予算で庭の芝生をはがし
有機農法の畑と果樹園づくりであったことは
あまりにも有名になった。


その目的は家族の健康のためということもあったけれど
子供たちへの教育啓蒙のためでもあったことだ。

http://www.msnbc.msn.com/id/29787424/

http://www.whitehouse.gov/blog/09/03/20/Spring-Gardening/

化学農薬会社からはたいへんな抵抗があるそうだけれど
全米の家庭では、今、オーガニックガーデンづくりが流行中。
子供たちも自分が作った野菜には興味津々
自らの口に運び自然の恵みへの関心を高める。

Michelle Obama plants seeds of change!

それは未来発想へと
過去のパラダイムチェンジの種を蒔いたことになる。
きっとそれは次世代への確たるメッセージとなってゆくだろう。

では日本はどうか?

NYに滞在した3月末
ちょうど3月28日の
夜8:30−9:30(NewYork時間)
88か国4000以上の都市でEarth Hourが行なわれた。

それは2008年度のそれよりも
10倍の実施に広がり増えたのだという。

本年最も市町村が参加した国ランキングは
一位フィリピン
二位ギリシャ
三位がオーストラリアだったという。
インドのニューデリーでは1000MWという電気消費が下がり
気温が著しく降下。
カナダのトロントでは15%以上の電力消費をマークしたという。

それに気づいたのはNYの空の漆黒だった。

今回宿泊していたのはThe New York Palace。


そのお向いがセントパトリックスカテドラル。
このホテルの建物そのものが
20世紀のはじめには修道院のゲストルームとして
使われていたのだということをはじめて知った。

その中庭のたたずまいが美しく幾枚も写真を撮る。

3月27日の夜。


3月28日の夜。


気づかれるだろうか
カテドラル向こうの
ロックフェラーセンターのライトアップが消え
周囲は真っ暗な闇のなか。
かろうじて中庭のフィラメント電球のみが残されている。

この間
リサと私は共に
それぞれのカメラで摩天楼上空の闇を撮影。
無数のOrbと邂逅。












嬉しくなってしまって
リサと共にホテル内に入って記念撮影。
Orbが共に入り込む。




翌日に
NY在住の友人山口聖子さんと会ってランチをした時にも
この話しに及んだ。
やはりOrbがたくさん撮影できることに気づいていらして
この全世界的Earth Hourの盛り上がりと共に
すごかったですね!と話しも大いに盛り上がった。

そして翌日のインターネット上では
次のサイトが最もクールに世界中を駆け巡った。
画像上をクリックすると実に美しいモーメントを追体験できる。

http://www.boston.com/bigpicture/2009/03/earth_hour_2009.html

それにしても日本の参加については
どのメディアでも報道されていないのが
残念でもあり不思議。

今年4月からはリサ・ヴォートのエコライフについて
朝日新聞のThe Asahi Weekly 誌面でcolumn を連載展開。
リサが感じる日々の視点で
次世代への
異文化コミュニケーションメッセージを送る。

http://www.asahi.com/english/weekly/0412/02.html

リサは今年4月初めに実業之日本社から出版された
新雑誌 ジョルニでも
そのエコライフを数ページに渡って特集されている。



リサのシンプルライフには智恵がある。
ものを持たない
徹底したグリーン・クリーン主義。
尊敬している。

ほんとうに私達が必要とするものは
ほんとうに貴くもわずかなものであったりする。

エゴをはなれ
エコへもどる。