Saturday, March 26, 2011

◎Quest・Question

今朝も首相官邸HPからのモニタリング状況を確認する。

http://www.kantei.go.jp/saigai/monitoring/index.html

放射線放出による影響が数値的には
低減の傾向があると示されていて安堵する。

毎日そのデータを低めようと懸命に時々刻々
原子力発電所内で作業される方々を思い
深謝と共にその快方に向かう成功を強く念じ祈る。
共に
このようなデータ収集に日々努められる方々のご苦労を思い
どうか良い数字となって欲しいと願って
掲載されたデータ群を素人なりに読み取ろうとする
ふつつかな自分がいる。

過去の学びが文系の目線でデータを読み取ろうとしても
理科系のご専門の方々の目線で追っていただければ
より遥かに近未来の予測情報が得られるのだろうと思う。


今日の日本経済新聞のオンラインニュースに

福島原発、官房長官「原子炉は破損の状況ではない」
避難住民の一時帰宅を検討
2011/3/27 10:03 

と掲載されている。

枝野幸男官房長官は27日午前のNHK番組で
福島第1原子力発電所の事故について
「いわゆる破損という状況ではないだろう」と述べたという。
そのため
「原子炉格納容器の破損という状況にならないように
放射性物質の濃度の高い水がどこから出ているのか分析し
対応していく」と述べ
原子炉そのものに破損はないとの認識を示したという。



この文章はどこかおかしいのではないかしら?

「いわゆる破損という状況ではないだろう」の根拠を
どこにおいて述べられているのだろう?

「破損という状況にならないように」している対策が
すでに出ている放射性物質の高い水が出ている場所を
分析対応するというのはどうしたことか?

日経のメディアご担当者が書き間違えたのかしら?

すでに破損が出ているという指摘が専門家から出され
懸念が世界中で高まっている最中に
その本質的事実を探りあてることのためではなく
これから破損を出さないために
何か都合の良い論理的理由を探り当てようと
放射性物質の濃度の高い水がどこから出ているのか
分析し対応していくということになってしまう
信頼性のない大きな矛盾をはらんでしまう。

加えて枝野長官は
「事態の悪化を食い止めることは
 一定の成果を上げている」と強調。
ただ収束のめどは「楽観的なことは言えない」と
言及を避けたという。

そこで
原発からの避難が長期化し自宅に荷物をとりに
帰ることを希望する住民がいることについては
「一時的に帰ってもらう状況が可能か検討している」と語り
退避した住民の一時帰宅を
検討していることを明らかにしたのだそうだ。

農家や酪農家に損害が出ていることに関しては
「出荷制限をしたところはもとより
それ以外のところも補償していく必要がある」と語った。

これまでもそうだったけれど
このような見解がメディア掲載されるということは
日本ならではの文化性なのだろうか。

一つは感情情報的な希望的観測を
メディアで述べることがある日本に比べ
諸外国はより事実情報を重んじ
危機管理を厳しくメディアでは追求する論調がある。

もう一つの日本文化の特徴として
目の前のあるものには
それを活用してどのようにしようかと
智恵を巡らしすばらしいものをつくることができるが
目の前に見えないものに
予測力・想定力・卓見力をもって
予見される情報編集を行ないながら
先のヴィジョンを見つめてよりよい方向に導く
そのようなリーダーシップが乏しい傾向にある。

和を重んじるばかりに表現が緩慢になることが多い
そのような日本文化性を
自らの想いも含めて省みる。

但しこの日々刻々と状況が変化している緊急危機時
確実なことしか対策しきれないという国家現状では
先行のシナリオの作り方を間違ってしまう。
対処療法に終わってしまい
未然の対策が後手にまわってしまう。

だからこそ日頃からさまざまな想定をもって
常に賢明に最善を選択して
生かされていることに感謝を深め
共につながりあえることの喜びを分かち合える
『正しい想像力』こそがなくてはならない。

そのような営み方が大事なのだと教訓を得る
どこまでも空が青く青く突き抜けている日曜日。



桜の確かな蕾が日々日々その営みのなかに
間もなくの開花を
正しく想像させ予見させてくれる。

開花の喜びが待ち遠しい。

◎Late・Latest

ようやく首相官邸のHPにバナーが貼られ
以下に放射線モニタリングデータが出るようになった。

被災地の方々への対応も体系的な案内が出るようになった。

http://www.kantei.go.jp/saigai/monitoring/index.html

ようやく・ようやく。

日々最新情報を追いかけたいと思う。

しかしながら
できればせめてこのように情報を調えてアップする前に
震災後3日前までは
模造紙に書いた緊急データでもよいから各県の被災地で
何がどのように動いているのかを記者会見で情報提供を行い
これからどのような救済指示を展開しているのかを予め伝えれば
それがメディアを通じてどれだけ多くの人たちに
安心と勇気と光を与えたことだろう。

この首相官邸HPにアクセスできる人たちが
日々このようなデータに触れることのできない人たちに
情報提供の輪を広げることができるようにしたいものだし
この情報開示を通じて
専門的な情報分析がなされていくことが
日本社会に救いが与えられることを願って止まない。

今日のCNICで
田中三彦氏(サイエンスライター)によるストリーミングで
昨日はじめて国が福島第一原子力発電所で
1号機と3号機の原子炉損傷があったと発表したことを受け
深刻な冷却剤喪失事故が起きたこと
ECCS(緊急炉心冷却装置)が機能していないという指摘をしている。
それを今回の被爆問題が出て来るまで公表していなかったという。

http://www.ustream.tv/channel/cnic-news

最新情報を受け
その真の情報開示を通じて
ようやく・ようやく
その本質的な解決問題に向かうフェイズになりつつある。

Earth Hourに祈る。

共に生かされていることへの感謝を思う。

◎Earth Hour・Peace Hour

震災から2週間が過ぎ
これまでを振り返り・これからを考える。

今日いわきから避難していた家族が実家に戻った。

福島原子力発電所からの放射線被害について
三歳と六歳の子供が一緒だから心配で
まずは東京へ来て私のところで1週間ほど起居して
様子を見守っていたが
いわきの水道が復旧したということ。
そして政府からの発表では放射線被害が直接に悪影響を
与えるほどではないという状況が見えてきたこと。
知り合いの科学ジャーナリストと放射線技師の方が
プロフェッショナルの知見から現放射線については
懸念は無用とのこと(後にお二人の記事を添付)。
更に、六歳の子のこの春からの小学校への入学情報が
地元に居ないとその情報収集ができないということもあり
やはり住み慣れた家へと帰郷することとなった。

今日はEarth Hourを迎える。

2年前に私はこのEarth Hour をNew Yorkで知った。
その時のことは以前にこのBlogでも記している。

http://bit.ly/frgiLH

その2009年の世界の様子は以下で見ることができる。
感動をもって見つめたことを思い出す。

この世界中の大きな写真の上をクリックすると変化する
その都市の様子の変化に深い感慨を覚えた印象は忘れられない。

http://www.boston.com/bigpicture/2009/03/earth_hour_2009.html

世界中で電気を消して灯の中に大切な人たちと語り合い
私たちの地球環境の原点を想う貴いひととき。

残念ながら日本は入っていない。その後も入っていない。

地球人の一人として
今夜8:30ー 浄闇の中で一本の蝋燭の灯を囲み
私たちの未来の光を祈り願いたいと思う。

人類のCleanな環境を
次世代にも次次世代にも継承するためには
人々の情報開示も人心もCleanでなくてはならない。

科学ジャーナリストの青木満さんと出会ったのは
現JAXAが宇宙開発事業団の時代に
その主催する宇宙関係のイベントで
司会の仕事をさせていただいたときに
お声をかけてくださったのだった。

以来、さまざまな貴重な科学的視点からの情報を
ご教示くださっている。

今回は、お知り合いの放射線技術者の川田さんに
放射線の身体に及ぼす影響についてお尋ねになり
また、風評被害の本質的な被害について取材され
お二人のやりとりに時間と手間をかけて監修された
記事をご送付くださり
本Blogにアップすることをご了承くださった。

誠にありがとうございます。

この記事を読まれた皆様と共に
Peacefulなひとときを
世界中の人たちの想いと一つに過ごされますように。

________________________

東電・福島第一原発放射性物質漏洩事故に関する
風評・デマにご注意!



文責: 青木  満(科学ジャーナリスト)
協力・監修: 川田雅士(診療放射線技師)


 3月11日午後2時46分、三陸沖を震源とするマグニチュード9.0という、史上最大級の巨大地震が発生。激しい揺れに続き、広範囲にわたり波高10mを超える巨大津波が襲来し、未曾有の大惨事を招き、戦後最大の人的・経済的被害をもたらした。

 この津波により、福島県の東京電力第一原発に壊滅的な被害が発生し、複数の原子炉から放射性物質の漏洩が発生。(一部は、内部の圧力を安全なレベルにまで下げるために人為的に圧力抜きを行ったことに伴う外部への放射性物質の放出を含む。)

 その後、炉心の冷却水を巡回させるポンプの電源等が機能しなくなったことで核燃料や使用済みの核燃料を保管した水槽の水温が上昇を続け、冷却水の蒸発等に伴い核燃料が冷却水から露出する事態に至った。このままでは、核燃料が溶融(メルトダウン)することでさらなる放射性物質漏洩の危険性が高まった。

 そこで自衛隊や消防庁などが連係し、炉心溶融という最悪の事態を防ぐべく、ヘリコプターから、そして地上から、とくに破壊の著しい3号炉に対して放水を実施。隊員たちは放射能による被ばくの危険性を覚悟の上で、命がけの作業を続けたお陰で、徐々にその効果が現れた。同時に、1号炉と2号炉に対しては、東北電力の回線から迂回させることで電力を確保し、本来の冷却装置を稼働させて炉心をはじめとする本格的な冷却手段を講じる準備を進めているところである。

*    *     *

 ところが、このような懸命なな作業をよそに、人々の放射能に対する漠然とした恐怖心につけ込んだ愉快犯的な極めて悪辣卑劣なデマ・風評が、主にインターネットやチェーンメール(いわゆる「不幸の手紙」の電子メール版)を通じて巷に広まっていることは由々しき事態といえるだろう。

 過日の「コスモ石油貯蔵施設の火災に伴う化学物質の雨が降る」という、完璧な「デマ話」がネット上で大賑わいしたが、このプラント火災で燃えたのはLPGであり、燃焼しても有害物質は発生し難く、雨で健康被害を被ることは実質ない。

 そのことを否定され、ようやく落ち着きを取り戻したかと思いきや、こんどは東電・福島第1原発事故に伴い、「人体に有害な放射線が漏洩しているので、放射線障害(甲状腺がん)の予防のためにヨウ素(うがい薬の「イソジン」など)を飲むように!」という、“嘘八百億”ともいうべく「大デマ」がまことしやかに流れている。そして現実に、そのようなデマを信じ、イソジンを飲用した方まで実際に現れた。こうなると、もはや冗談では済まされない「犯罪行為」と糾弾されて然るべき事態といえよう。

 日本は世界で唯一、戦時における核爆弾による被爆国として、国民全般に放射線アレルギーを有しているが、実は、私たちは知らぬ間に宇宙から、そして地球からの自然発生的な放射線を受けている。そのような環境の中、私たちは日々の生活を送っているのである。
 よって、あまり神経質になる必要はまったくない。
 とはいえ、相手は目に見えない放射性物質。一般に放射線とはどのようなものか、どのような危険性があり、どの程度ならば安全なのか、その見極めが素人にはできないゆえに、余計に不安に駆られるもの。
 たとえ目に見えない物質でも、その正体を知り、私たちが日常置かれている環境を正しく理解できれば、デマ話などに翻弄されることなく落ち着いた対処ができるはずだ。

 そこで、日々放射線に向き合っている専門家、とみまつ小児科循環器クリニック・診療放射線技師の川田雅士さんに、今回の放射性物質漏洩事故に対する私たちの心構えを、日常生活への影響を、危険の度合いを伺った。

 以下は、一般の方が抱く疑問や不安に対し、川田さんからのご教示をもとに、放射性物質の私たちの身体や生活への影響の度合いを、そして私たちがどのような行動をとるべきかを易しくまとめたものである。



★破壊された原子炉から、どんな物質が漏洩したのか?
 今回の東電事故では、まず放射性物質を微量に含む水蒸気の放出が発生した。続いて、原子炉格納容器に繋がる圧力抑制容器が破損した恐れがあり、放射性のヨウ素131とセシウム137 が漏れた可能性がある、と思われる。
 この二つの放射性物質は気体になりやすいため、水蒸気に含まれやすい。
※ヨウ素は184℃で、セシウムも678℃で気化する。

★チェルノブイリ事故の二の舞いか?
 しかしながら現在のところ、燃料棒が入っている圧力容器は無事とのことなので、チェルノブイリ事故のように大量の放射能が漏れているということはない。(そもそも、福島原発とチェルノブイリ原発とでは、同じ「原発」とは言えど、両者の原子炉の構造がまったく異なり、構造的に考えても福島での事故がチェルノブイリ級の大規模放射線汚染には至らないと考えられる。よって、チェルノブイリ事故と単純に比較する意味がないし、過度な不安を抱く必要もない。)
 現在、問題になっているのは原子炉を冷やすための水に微量に含まれる放射性物質(放射能)が漏れているという状態で、これは原子炉圧力容器の圧力が高くなりすぎて破損することを防ぐため、やむなく圧力を逃がすために水蒸気を放出したことによるものである。

★被ばくとは……
 先のとおり、我々は日常生活においても自然界から放射線を浴びている。自然放射線は世界平均で2.4mSv(ミリシーベルト)であり、その内訳は16%ほどが宇宙線由来のもの、その他が地球起源の放射線である。
 岩石や鉱物に含まれる放射性物質の多くはカリウムである。そのうち0.0117%が放射性のカリウム40である。私たちの体内にもカリウムは含まれており、私たちは、私たちの体の構成物質からも常に被ばくを受けている。(1年間に0.2mSv程度)
 カリウムを含む食品も同様に、カリウム中に含まれる放射性のカリウム40により、食品の摂取でも自然放射線を被ばくする。
 また、自然界にはラドンガスが存在し、その吸入による内部被ばくもある。

★地域により被ばくの程度が異なる
 地球起源の放射線に関しては、地域によって程度の差が存在する。世界平均は2.4mSvだが、日本は比較的自然放射線量が少なく、平均で0.98mSv程度(宇宙線と地盤からの外部被ばく+食物からの内部被ばく)となっている。日本はラドンガスの発生が少ない地域なので、ラドンガス吸入を考慮していない数値である。
 ブラジルでは、年間10mSvくらい受けるそうで、世界平均の4倍もの値に相当する。このように国や地域により、自然に被ばくする線量も異なってくる。そこで、以下の考察では、世界平均の2.4mSvを用いて話を進める。
 ※単位について: 2.4mSv(ミリシーベルト)=2400マイクロシーベルト。

★レントゲン撮影での被ばくの程度は?
 もっとも一般的な胸部のレントゲンでは、正面の撮影1回につき0.05mSv。バリウムの検査では8.7mSv前後、胸腹部CTでは7.7mSv前後の放射線量となる。
 したがって、胸部正面のレントゲンを48枚撮影して、ようやく自然放射線の値2.4mSvに
達することになる。
 もちろん、バリウム検査やCT検査を受けても被ばくによる問題が起こることはなく、自然放射線の値2.4mSvという値がいかに小さなものであるか、お分かりいただけるだろう。

★放射線に対する2種類の影響とは?
 放射線に対する影響としては、「確定的影響」と「確率的影響」の2種類がある。
 確定的影響とは身体的な影響で、しきい値を持ち、ある一定の値を一度に浴びて、初めて発症がみられ始めるもの。(言い換えれば、一定値を超えなければ発症しない。)
 妊婦の腹部被ばくでの胎児への影響は100mSvから。胎児以外を考えるならば、白血球(リンパ球)の一時的な減少が現れるのが250mSv、男性の一時的不妊が150mSv。これらの値以下では症状が発症することは無い。

 また同じ線量でも、いちどに被ばくするよりも、時間をかけてゆっくりと被ばくした場合の方が、害は少ないといえる。これを「線量率効果」という。(線量率=線量÷時間)
 これはDNA(デオキシリボ核酸:遺伝情報を担う高分子生体物質)の自己修復機構によるもので、分裂能力のある細胞はこの機構を備える。ただし、男性の一時的不妊に関してはこの効果がない。
 なお、これは放射線の種類にもより、X線、ガンマ線、ベータ(電子)線はこれに該当する。しかし、中性子線、アルファ線、重粒子線の場合には、あまりこの効果はない。
 確率的影響は発がんと遺伝的影響で、こちらにはしきい値はないが、医療被ばく程度では有意に発がん率が増えたというデータはない。
 むしろ、喫煙や太陽光に晒されることでの発がんのリスクの方がはるかに高い。

 先ほど、妊婦の腹部被ばくでの胎児への影響について述べたが、100mSvに満たなければ、胎児への身体的影響(奇形や知能指数低下)はない。
 確率的影響に話を戻して、出生児の発がんのリスクはどうだろうか。これは文字通り、確率的影響なので、しきい値はないが、最近の胎児被ばくの研究では、がん発生の絶対リスクが推定されている。それによると100mSvの線量で、胎内被ばくして出生した0~15歳の小児のがん発生は10万人あたり600人(0.6%)となる。この種のリスクは線量に比例すると考えるので、線量が倍の200mSvでは10万人あたり1200人(1.2%)になる。
 いづれも高くはない数値であるが、確定的影響である身体的影響、確率的影響である発がんリスクを両方考えても、判断基準は100mSvといえる。

★遺伝的影響について
遺伝的影響とは、わかりやすく言えば親(となる人)の被ばくによる将来の子への影響である。これについては広島と長崎の生存者の遺伝的影響が長年に渡って調査されてきた。
 1965年に広島と長崎の小学生から高校生まで20万人の身体発育実態調査をもとに分析した結果、親の世代の被ばく群と被ばくのない群とで、発育の有意な差異は認められなかった。核放射線に被ばくした親から生まれた二世の身体発育に、影響はなかったのである。
 染色体異常の発生率の調査に関しても、1967年~1985年の間に調査され、核放射線被ばく者二世に対する染色体調査から、遺伝的障害の増加は証明されなかった。
 この理由には、遺伝的影響が二世以後に発生しないような淘汰のメカニズム(傷害を受けた遺伝子は、後世への遺伝に用いられず破棄される)の可能性が指摘されている。
★東京で観測された放射線量は?
 一時期、東京で約0.8マイクロシーベルト毎時の放射線量が計測された。(現在はもっと下がっている。)
 これを24時間、365日、つまり1年間に渡り同レベルの放射線を浴び続けたとしても、年間7008マイクロシーベルト。つまり、約7mSvである。世界平均の自然放射線比で2.91倍となる。(測定値には自然放射線を含んでいる。これを「バックグラウンド」という。)
 ただし現実には、年間を通じて同レベルの放射線を浴び続けることはあり得ないため、実際にはこれよりも相当低い値にとどまる。

★放射性物質は時間の経過と共に減っていく
 放射性物質(放射能)には「半減期」(放射線量が半分になるのに要する時間)があり、いま話題になっているヨウ素131は8日で半分の量になる。
 さらに風向きや自然界で拡散されることで一定面積あたりの放射性物質量は減るので、
実際は半減期よりもずっと短時間に減少することになる。

★原発付近の状況は? 作業員の安全性は?
 原発付近では、一時期40万マイクロSv、すなわち400mSv毎時という高い値が示され、これは確かに人体に影響を及ぼす線量である。
 そのような環境に1時間滞在したならば、体内では白血球の減少や男性の一時的不妊などの身体症状が発症する。ただし、この線量でも自覚症状としては出ないことが多い。症状が出たとして、軽い吐き気、おう吐、食欲不振が起こることがある。この症状が出るしきい値は500mSvであり(前述の国際基準はここから来ている)、300mSvまでは急性症状は起こらないとされているのである。
 今回、25万マイクロSv(250mSv)まで安全基準を緩めたとのことだが、この量は前述のとおり、一時的な白血球の減少が起こり始める量に当たる。(あくまで一時的で、時間の経過に伴って元に戻る。)

 しかし、幸いにも放水作業に当たった消防士たちの被ばく量は、従来基準の10万マイクロSv前後だったとのことで、そのことでの健康被害は実質ないといえよう。
 なお、40万マイクロSv、すなわち400mSv毎時の環境では、33分までの作業しかできないが、これはあくまで「裸」の状態でのこと。実際は防護服を着用するので、被ばく量はぐんと低くなり、もっと長い時間の作業が可能となる。
 作業員はアラーム付きのモニタ線量計を装着しており、規定値を超えるとアラームが鳴り、作業を中止する。さらには、放射線専門医の監督指導の下で作業に当たっているはずで、ある程度、安全性は確保されていると思われる。

★甲状腺とヨウ素の関係
 甲状腺はヨウ素を取り込み、甲状腺ホルモンを作る組織であるが、食物から十分にヨウ素を摂取できている状態では甲状腺はヨウ素で満たされている。(ここでいうヨウ素とは「安定ヨウ素」といい、いわゆる放射線を出さない普通のヨウ素のこと。)
 ところが普段からヨウ素の足りない食事をしていると、甲状腺にヨウ素を溜め込む「空きスペース」が生じ、その状態で放射性のヨウ素を摂取すると、放射性ヨウ素を溜め込んでしまう可能性がある。
 放射性ヨウ素は、呼吸や食物とともに体の中に取り込まれ、甲状腺に集まる。そのため、甲状腺がんの原因になる恐れがある。

★ヨウ素剤の効果は?
 ヨウ素剤は、事故の規模などから計算して、甲状腺の線量が100mSvを超えると予測された時に配られる。
※現状では、3月16日以前に避難区域(原発から半径20km)に避難された方は不要。

 前もってヨウ素剤を飲んでおけば、放射性ヨウ素が甲状腺に集まることを防ぎ、尿や便から排出され、発がんの危険性(リスク)を低減することができる。
 ヨウ素は体に取り込まれても10~30%しか甲状腺には集積されないが、予め非放射性(普通の)ヨウ素を体に取り込み、甲状腺に溜め込んでおけば、甲状腺は普通のヨウ素でいっぱいになっているため、甲状腺にこれ以上ヨウ素を溜め込む「空きスペース」がなくなり、放射性ヨウ素の甲状腺への蓄積を未然に防げる。

 しかし、これは大事故で大量の放射性ヨウ素の吸入の恐れがある場合で、現段階では必要はないと考える。
 ヨウ素は海産物、とくにコンブに多く含まれる。コンブ乾燥重量100g当たりには100~300mgのヨウ素が含まれている。しかし、コンブを食べることにより、短時間に大量のヨウ素を体内に取り入れるのは難しい。

★チェルノブイリ事故とヨウ素剤
 今回のデマ騒動の根拠となったのが、チェルノブイリ事故におけるヨウ素剤の効用だろう。この事故をきっかけに、広くヨウ素剤の効用が知れ渡ったといっても過言ではない。
 チェルノブイリ事故後、東欧諸国で小児の甲状腺がんが増加したが、この原因は粉ミルクに放射性ヨウ素が含まれていたことによる内部被ばく(体内被ばく)であった。チェルノブイリ事故では、今回の東電事故とは比べ物にならない多量の放射性ヨウ素による汚染が発生したからである。

 事故後、ポーランドでは安定ヨウ素剤を配布されたが、ウクライナやベラルーシでは配布されなかった。そのため、ウクライナやベラルーシでは小児甲状腺がんが増加したが、ポーランドでは増加しなかった。
 しかし、ヨウ素剤の有無だけが結果に影響したのかというと、そうではない。ウクライナ、ベラルーシは内陸国で、もともと土壌にヨウ素が少なく、その土壌で生産された食物からは十分にヨウ素を摂取できなかった。(普段からヨウ素不足で、甲状腺にヨウ素の空きスペースがあった。)

 一方、ポーランドは海沿いの国で、土壌のヨウ素不足もそれ程ではないのに加え、事故後、ポーランド政府は国産牛乳の飲用を禁止し、すべて汚染地域外から輸入した粉ミルクに切り替えた。これら複合的措置が結果に影響したのであり、安定ヨウ素剤の有無だけがすべてに影響したわけではない。

 食物中、土壌中のヨウ素量の多い日本では、通常の食生活を行うことで十分にヨウ素を摂取できており、自然と甲状腺は安定ヨウ素で満たされる。ごく少量の放射性ヨウ素が、健康に影響するほど容易に吸収されることはない。
 したがって、むやみに安定ヨウ素剤を服用する必要はない。
 なお、安定ヨウ素剤の投与は、一度に多量の放射性ヨウ素の被ばくを受けた40才未満の方に対して1度だけ服用し、その後は被ばく地から待避することが前提となる。

 だが、現状で1度だけ安定ヨウ素剤を飲んでも、むしろ甲状腺機能が不安定になり、リバウンドで一定期間後に放射性ヨウ素の吸収を高めてしまうことさえ起こりかねない。
 したがって、素人判断で安定ヨウ素剤の服用は厳に慎むべきことであり、本当に服用を要する場合には、必ず専門医の指導のもと行うべきである。

★ヨウ素剤の副作用は?
 さらに、ヨウ素剤を服用することは、非常に稀ながら副作用も考えられる。ヨウ素剤を服用したときに起こる副作用は大きく二つに分けられる。
 一つは、多量のヨウ素が甲状腺機能を抑え、甲状腺機能低下症になること。二つ目は、逆に甲状腺機能亢進症を起こすことである。これはヨード不足の地域で見られることで、ヨウ素を充分にとっている日本人にはほとんど見られない。

 ヨウ素剤の服用による副作用について、国際原子力機関(IAEA)の資料では1日当たり300mg(ここで決められた服用量の4倍~8倍量)のヨウ素を服用した場合でも、100万人~1000万人に1人の確率で皮膚のかゆみや紅斑、甲状腺機能低下症、甲状腺機能亢進症などの副作用が出るとしている。死亡する確率は10億分の1とされている。

 チェルノブイリ事故の際に、ポーランドで小児1050万人にヨウ素剤を与えられたが、そのことによる副作用は報告されていない。
 本来、ヨウ素というものは人間の生命にとって無くてはならない甲状腺ホルモンを作るために必須の元素である。生体にヨウ素に対する拒否反応がある方が生命にとって危険である、と考えられる。

 ヨウ素剤によって、体の中に取り込む放射能を少なくできるのは放射性ヨウ素だけである。他の放射性物質、放射線に対してヨウ素剤はまったく効果はなく、それらの物質はできるだけ取り込まないように注意するしかない。

★ヨウ素入り「うがい薬」を飲まないで!
 一方、デマに登場したヨウ素を含むうがい薬(イソジンなど)や、外用薬を飲むことについては、安全性が確認されていない。乳児の場合には成長障害を引き起こす危険性さえもある。
 また、これらの薬剤はヨウ素含有量が少ないため、放射性ヨウ素が甲状腺に集まるのを防ぐ効果も少ないといわれている。

※うがい薬「イソジン」等、あるいは同様の消毒薬を飲用することは絶対にやめてください! 放射線被ばくによるリスクよりも比べ物にならない大きなリスクを伴います。

★現状では、危険レベルには達していない!
 現状では、自然放射線からの被ばくを含め、世界平均値の2.4mSvと比べても2.91倍に過ぎず、ましてやこの状態が恒久的に続くものではないことから、私たちの健康面への影響はまったく問題ないと考えられる。

 軽微な放射線被ばくでは、むしろ「気持ち」の問題の方が大きく左右する。不安に思うことにより体調に影響を及ぼすことがあるからだ。これは薬学的にいう「プラシーボ効果」(たとえば、ビタミン剤なのに「頭痛薬」といわれると頭痛が治ってしまう現象など)に近いものがある。
 みなさんが不安に思うお気持ちはお察しするが、世界には高標高、地質的な関係により、年間10mSvを超える自然放射線を受ける地域も存在する。しかし、彼らに有意な発がんリスクのデータは存在しない。
 さらに、この線量では確定的影響(身体的影響)はないので、どうぞ安心して頂きたい。

★既に放射線被ばくした方は……
 今回、被ばくに関する検査を受けられた方の中に、いくらかの放射能汚染が生じていることが政府発表で報告されている。だが、その場合には除染(洗浄)の上、適切な指示が与えられているので、その指示に従えば問題はない。
 圏外の住民の方々の検査結果では、多くの方が「汚染なし」とのことである。(圏外の方々では甲状腺に悪影響を与えるほどの体内汚染が起こっているとは考えられない。)

 3月17日に、福島市内の上水道中の放射性ヨウ素などの濃度が若干増加したと報道されたが、その後は通常の飲用に問題がないとされる規制よりも下回る値を示している。
 なお、放射性ヨウ素による甲状腺癌発がんの発生率は40才未満、とくに放射線に敏感な小児に高く、それ以上の方では甲状腺がんの発生はほとんどない。

★東京周辺の水も放射能汚染されたが……
 3月23日、衝撃的な発表がなされた。それは、前日に採取した葛飾区・金町浄水場(利根川の支流である江戸川から取水)の水道水中に、規制値(1kg当たり100ベクレル)の約2倍に当たる放射線量(最大値:210ベクレル。その後は徐々に低下し、24日朝には規制値以下の79ベクレルまで低下。ベクレルとは、放射線の強さを示す単位)を示す放射性ヨウ素131が検出されたという。
 さらに22日に採取した、同じく利根川水系の水道水から放射性ヨウ素131が検出され、ちば野菊の里浄水場(千葉県松戸市)で220ベクレル、同市・栗山浄水場で180ベクレル、新郷浄水場(埼玉県川口市)では120ベクレルの値をマークしたことが24日に判明した。

 放射性ヨウ素131が含まれる水を煮沸しても、それを気化させて排除することはできない。しかし、ヨウ素は活性炭に吸着する性質がある。家庭用の浄水器でのヨウ素排除の可否や、排除できるレベルは浄水器ごとに異なるため、各メーカーに問い合わせる必要があるだろう。(浄水器への過信は禁物。)

 仮に、100ベクレルを超える水を長期間に渡り飲用し続けた場合、1歳未満の乳児には健康障害の恐れがあるため、政府は乳児へのこれら浄水場からの水道水の摂取(粉ミルクを水道水で作るなど)を控えるよう勧告をした。(金町浄水場からは、東京23区の他、稲城市、多摩市、町田市、三鷹市、武蔵野市へも供給されている。)

 実際にはあり得ないことだが、もし、金町浄水場でのこの値が継続したとして、乳児に健康被害の恐れが生じ得るには1700リットルほど、成人ならばさらに6倍ほどもの水道水を飲み続けての話に過ぎない。ましてや、短期的な摂取ならば、乳児も幼児も、もちろん成人も、いっさい懸念はない。
※この値は3月22日の検査時に示された値であり、その後の金町浄水場での放射線レベルは低下しており、現在はより安心して頂けるレベルに達している。なお、計算方法により上記の摂取量が異なるが、健康被害をもたらすに至るには、いずれも大量の水道水の摂取が必要であり、現実的な話ではない。

 しかし、衝撃的な報道発表であったため、スーパーなどにミネラルウォーターを買いに走る方が殺到し、たちまちミネラルウォーターが品切れになった店が続出。たとえ、ミネラルウォーターが手に入らないからといって、赤ちゃんにミルクを与えないことによる健康被害の方がはるかに大きいので、これまた過度な反応は考え物である。
※ミネラルウォーターならば何でも安全というわけではない。日本で売られている多くのミネラルウォーターは「軟水」であり問題ないが、中には「硬水」のものも売られているので、それを赤ちゃんに摂取させると下痢の原因になりかねない。また、成人においても大量に硬水を摂取すると同様の症状が生じる恐れがあるので、ミネラルウォーターの購入に際してはその水の「硬度」を確認して頂きたい。

 ただし、実際に健康被害が生じ得ないレベルであるということと、自分が飲む水にたとえわずかな量であっても放射性物質が含まれることへの抵抗感は別物。私自身、自宅に供給されている水に放射性物質が含まれていたことを知り、確かに気分のよい話ではない。 どうしても精神的なストレスに感じる方は、放射能汚染エリア外からの湧き水で作られたミネラルウォーターを飲用するのも、あくまで「気分の問題」として仕方がないかも知れないが、できればそのような感情的な行動に走ることなく、ミネラルウォーターは乳児に回して上げて頂きたい。みなさんの、理性的な行動を期待したい。
★生体には、自ら「排除機能」が備わっている!
 一時的に放射性ヨウ素131を取り込んでしまったとしても、先に見たとおり8日毎に放射線量が半減する。これは「物理的半減期」といい、何もしなくとも8日経つ毎に放射線レベルが半減するもの。(16日後には4分の1に低下。)
 一方、生物は排泄行動によっても放射性物質を体外に排出できる「生物学的半減期」が別途存在する。
 したがって、実際の半減期(有効半減期)は、物理的半減期と生物学的半減期、両者の効果がきいてくるため、単純な物理的半減期よりも大幅に早い段階で体外に放射性物質を排出できるので過度な心配は無用である。

★露地物の野菜は大丈夫か?
 福島県をはじめ、周辺の地域からのほうれん草など露地物野菜の流通、さらには摂取(食用)を政府が禁じたことで、国民の不安がよりいっそう加速された、と言ってもよいだろう。政府の発表の仕方からして不適切なもので、あのようなかたちでの発表は不要な不安を与えることにしかならない。

 現在確認されている放射能汚染レベルで試算して、たとえばほうれん草を洗わずに食べたとしても、年間83kgも食べないと危険なレベルには達しない。実際には洗わず食べる人はいないだろうから、洗浄することで野菜に付着している放射性物質は10分の1以下に激減するとされるという。(その洗浄水が、先に述べた微量な放射性物質が含まれる水道水であっても結果は同様。)
 となると、実際には年間830kgものほうれん草を食べて、はじめて健康被害が懸念されるレベルに達するのであり、こんなに多量にほうれん草(他の露地物野菜でもほぼ同様)を摂取する人はいないだろうから、これまた安心してよいレベルと言える。

★魚介類や海草は安全か?
 福島第1原発に隣接する海からは、海水中に規制値を大幅に上回る放射性物質が含まれていることが判明した。これは、大量の放水作業により放射性物質に汚染された水が海に流れ込んだものと考えられる。
 そのため、かつての水銀汚染のような漁業被害が起きるのでは、との懸念も聞かれるが、水銀汚染と放射性物質による汚染とではまったく事情が異なる。

 放射能汚染された海水を摂取した魚や海草により、汚染物質が「生物濃縮」されることはある。だが、放射性物質には先に見たとおり半減期が存在する。また生物学的半減期も加算され、水銀汚染のようにいつまでも魚介類や海草などの中に汚染物質が留まるものではない。仮に、そのような魚などを人間が摂取しても、人間も「生物学的半減期」が存在する。さらには、海流のために汚染物質は時間の経過と共にどんどん拡散されていき、放射能レベルは低下の一途をたどる。

 現在、この水域での漁業は行われていないことからしても、いま、我々が慌てて魚や海草類の摂取を控える必要などまったくない。(将来的に、この水域での漁業が再開されたときでも、その時には問題のない放射能レベルまで下がっているはずで、安心して魚介類や海草を食べることができる。これまた風評などに惑わされることなく、どうか安心して頂きたい。)

★それでも対策を考えるならば……
 ごく微量であっても、空気中に浮遊する人工放射性物質を体内に取り込むことを避けることは被ばく低減になるので、屋外でのマスク着用をお勧めする。
 また、むやみな肌の露出を控えるに越したことはないが、都内を含めた一部の100円ショップなどでは、ここ数日で急激にレインコートが品切れ状態になっているという。原因は、外出時に(たとえ晴天であっても)レインコートを着用することで、皮膚や衣服に放射性物質の付着を防ぎたい、との行動だそうだ。
 3月下旬現在、福島第1原発から半径20km以内の地域の方々は既に全員安全な地域に避難されているはずなので、レインコート着用の有用性が多少なりとも考えうるケースは、それより若干外側のエリア(政府が定めた半径20km以上30km以内にお住まいの方々で、基本的に屋内待避扱い)の方がどうしても外出しなければならない時に着用するくらいで、それ以上離れた地域にお住まいの方々にとっては安全なレベルに射線量が下がっているため、レインコートの着用はさしたる意味をもたない。これまた、風評による「安全神話」の類と言えよう。

 現在、折しも花粉症のシーズンでもあり、花粉症対策と同等レベルの予防策を講じるだけで空気中にごくごくわずかに含まれる放射性物質の予防にもつながる。
 よって、花粉症でない方も少しの心がけで、より安心して過ごせることだろう。もちろん、過度な予防策は意味をなさないが。現状では、このような対策をとらなくとも、健康面に影響を及ぼすレベルではまったくないことを改めて強調しておきたい。

★政府・東電の発表の仕方の問題と不明瞭な安全基準
 原発事故の発生に伴う政府や東京電力の説明は、一般市民に対して不親切に思う。「基準の何倍」とかいわれても、その基準とはどのようなものなのか? 「安全」というけれど、その根拠は? よくよく考えてみると、一般の方には分からないことばかりだ。

 一般の方がこのような疑問をいだき、漠然とした表現ゆえに不安に感じることは無理なきこと。きちんと、一般にも分かり易いかたちで「基準」を示すべきなのだ。単に、訳の分からぬ数字を羅列したり、いままで聞いたこともない単位で述べられても、ますます不安が増すばかりだ。政府や東電の発表は、この点で正確さとは別に、不適切だと言えよう。
 しかも、通常はミリシーベルト単位で表現する場合でも、マイクロシーベルト単位での発表では見かけの係数が3桁増え、ますます不安が増大する。

 いま盛んに述べられている「ベクレル(Bq)」とは、1秒間に原子核が何個崩壊して放射線を放つか、という放射能の量を示す単位。1ベクレルとは、1秒間に1つの原子核が崩壊して放射能を放つ放射能の量で、100ベクレルだと、毎秒100個の原子核が崩壊して放射線を発する。
※病院にあるレントゲン装置は電気的に放射線を発生させるので、放射性物質は使っていない。

 一方、「シーベルト(Sv)」とは、生体への被曝の大きさを示す単位。放射線の強さは、放射線源からの距離の2乗で反比例する。(距離が2倍になれば4分の1に軽減される。)
 また、その間に遮蔽物があれば、生体への被曝量はさらに軽減される。(そのために、原発から20km以上30km未満のエリアにお住まいの方々に対し、「屋内待避」を奨めているのである。)
※そのほかにも、放射線関係には様々な単位があるが、この場では混乱を避けるために割愛する。

★放射線技師の被ばくの程度は?
 では、川田さんのように、業務として日常的に放射線に接している放射線技師の被ばくの程度はどれくらいだろう。そして現実に、健康面に何らかの影響があるのだろうか?

 川田さんのような医療放射線業務への従事者は職業被ばく限度として、年間最大被ばく量を50mSv、5年間で最高100mSvが実効線量限度と定められている。
※緊急作業は250mSvまで。これは人命救助を例外とした国際基準(500mSv以内)での緊急作業の原則が存在し、その値の半分以下である250mSvまでならば急性症状は認められない、との基準で定めている。
 実際の医療の現場では、診療放射線技師が介助などのために患者さんに近づいて撮影することも多く、そのために防護衣は着用するものの、年間10mSv前後の被ばくをするそうだ。(すべての診療放射線技師がそうではなく、業務内容により異なる。)

 業務中は個人被ばく線量計という計測器を装着し、厳密に被ばく量を管理をしている。また、放射線業務従事者用の健康診断は1年に1回、法令で義務づけられているが、川田さんが被ばく線量で異常値を示したことはいままで一度もないという。
 ましてや、一般の方が原発から拡散した放射性物質で被ばくしたとしても、その線量は放射線技師が日常的に浴びている線量と比べても桁違いに小さな値に過ぎない。そのことからも、過度な心配は無用といえるだろう。

 今後の推移を見守る必要はあるが、現時点で過敏症的に慌てふためき、不安に思う必要はまったくない。どうぞ、デマや風評に惑わされぬよう、ご注意願いたい。

★「義援金詐欺」にもご注意を!
 さらに、人々の善意を食い物にした「義援金詐欺」事件も発生していると聞く。このような犯罪行為は鬼畜にももとる卑劣なもので、公安当局にはよりいっそう厳しい姿勢で検挙・取り締まりを願いたい。また、法改正をしてでも、厳罰化を実施すべきだろう。
 いま、私たちができうることは、信頼できる義援金窓口に浄財を預けることで不正を未然に防ぐことだと思う。こちらも、くれぐれもご注意を。

★まとめ
 現在、大気中、水道水中、原発近隣の海水中に検出されている放射線レベルは、たとえ短期的に摂取しても、まったく健康被害の心配のないレベルに過ぎない。長期的な摂取は理論的には健康被害をもたらす可能性があるものの、現実には常識的な日常生活・食生活を送っていれば懸念されるような事態にはなり得ないため、そのような心配も無用である。
 ただし、乳児に関しては、一定の配慮が望ましいが、それとてやむを得ない場合には、水道水でのミルクの投与も許容範囲内である。

 したがって、現状では過度な不安や心配を抱く必要はまったくなく、風評に惑わされてヨウ素入りのうがい薬などを飲用したり、ミネラルウォーターをはじめとする不足気味の生活物資、飲食物の買い貯めに走ることは厳に慎むべきである。
 みなさんの理性ある行動が、いま何よりも求められているのである。


 最後に、今回の地震・津波により犠牲となられた方々のご冥福をお祈りすると共に、お怪我をされた方々の1日も早いご快癒を、そして家屋や財産を失われた方々の1日も早い復興を祈念いたします。

★参考文献
 『放射線概論』飯田博美 編(通商産業研究社)
 『放射線取扱の基礎(3版)』氏平祐輔・他著(日本アイソトープ協会)
 『医用放射線辞典(3版)』医用放射線辞典編集委員会 編(共立出版)
 『医療人のための放射線防護学』高田純 著(医療科学社)

★参考考Web
 日本核医学会HP: → http://jsnm.org/japanese/11-03-18

 聖マリアンナ医科大学HP(医療被曝について)
 → http://www.marianna-u.ac.jp/Radiology/patient/007792.html

Tuesday, March 22, 2011

◎SPEEDI・SPEEDY

夕べ遅くに
長年の魂の友である星の王子様が来訪してくれた。

NASAのスペースシャトルCOLOMBIAの打ち上げに
宇宙物理学者の恩師の教えのもとに
彼とご一緒したのはもう15年も昔のこと。

共に月を愛で星を見上げ
宇宙の中に生かされている私たちのことを考え
地球で今何が起きているのかを共に語り合う。
そのような周波数をこよなく大事に思う。

そして共に
これまでの日本
いまの日本
これからの日本について考え・語り合う。

それにしても
日本の国は日本・世界の国民に対して
人々の信託に答える用意が
どうしてこうもないのだろう・・・。

現政権は
前首相も現首相も説明責任能力が著しく欠如しているのだった。

それを政治の世界に見ていた時は
それがその政権の自己保身のための政治戦略なのかと考えて
すっかり冷めきってしまったのだったけれど
現況のような日本発の原発による放射線環境汚染については
さすがにきっちりしっかりと
世界に対して説明責任がまっとうされなくてはならない。

しかし国内に対しても説明責任を守れず免れようとする
その無責任の稚拙さが
世界に対して説明責任をしっかりきっちりと負えるはずもない。

憤りを超えて
悲しみと諦観に近づいていく
自らの心の内の変化を覗く日々。

首相も官房長官も内閣の人々も官僚も
顔が見えない現在の緊急対策の態度姿勢が
まるでその姿が見えない放射線と同じくらい怖い。

国民の健康管理や安全保障の問題認識に即刻心と頭が働かず
まずはそのうちによきように対処をしていこう
責任所在は見えないものとしていこうという
長いものに巻かれていく。

そのような日本人気質の一般的傾向の所産であるのなら
私もその日本人の一員だったのだろうと
ただこの先の日本の困難な行く末を
ぼんやりと見つめてみるばかりだ。

確かに「直ちに」病むことのない
放射線物質による環境汚染。

それがどれだけの風評被害を出すのかを恐れ
それがどれだけの将来被害を出すのかを恐れない
日本政府の官房。

その矛盾。

仕方が無い。

今を生きる。

無心。

それがこれからの私達の運命となる時代なのだと
無力感の中でつくづく気づく。

以下、2つのニュースから。
いずれも朝日新聞のオンライン情報から。

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首都圏、放射性降下物増える 東京で前日比10倍も

2011年3月23日0時1分
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ブログに利用

 文部科学省は22日、福島第一原発事故の影響を受け、上空からちりなどとともに落ちた放射性物質の測定結果を発表した。首都圏などを中心に増加傾向を示した。東京都新宿区で1平方メートルあたり5300ベクレルのセシウム137、3万2千ベクレルのヨウ素131を検出、前日に比べ、いずれも約10倍の濃度に上がった。健康に影響を与える値ではないが、長期に及ぶ監視が必要になる。

 放射性降下物の測定は、文科省が21日午前9時から22日午前9時にかけて全国で行い、分析した。

 東京都の値は、前日のセシウム560ベクレル、ヨウ素2900ベクレルから急上昇した。22日発表のセシウムの値は、放射線管理区域の基準値4万ベクレルの8分の1、ヨウ素の値は、5分の4にあたる。

 この他の自治体のセシウムの値も、さいたま市が1600ベクレル(前日790ベクレル)、甲府市が400ベクレル(同不検出)、宇都宮市が440ベクレル(同250ベクレル)と、軒並み上昇した。

 前日に、最も高い値を記録した茨城県ひたちなか市では、やや下がったものの、セシウム1万2千ベクレル、ヨウ素8万5千ベクレルと、依然、高い値を記録している。福島や宮城は震災の影響で計測できていない。

 東日本は22日も、雨や雪が降ったところが多く、大気中に漂うちりとともに、放射性物質が落下したとみられる。ヨウ素の半減期は8日間と短いが、セシウムの半減期は30年で、地面に降りた後も長期間放射線を出し続ける。土壌や水、農作物への放射能汚染につながりかねないため、今後も監視を続ける必要がある。

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国、住民の被曝予測公表せず 研究者らが批判

2011年3月21日23時45分


 住民の被曝(ひばく)量や放射性物質が降る範囲の予測を国が公表していないため、研究者らから批判が出ている。文部科学省が委託した機関が1時間ごとに計算し原子力安全委員会に報告しているが、国は「データが粗く、十分な予測でないため」と説明している。

 予測システムはSPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測)と呼ばれる。原子力安全技術センター(東京)が、原発の位置、放射性物質の種類や量、放出される高さ、地形などを元に、最新の風向きや風速のデータを加えて計算。日本全域を250メートル四方に区切り、それぞれの場所にすむ人が吸入などで被曝する量を予測する。

 同センターによると、11日の地震発生約2時間後から、東京電力・福島第一原発について計算を始めた。放射性のヨウ素や希ガスについて、放出量の見積もりを何段階かに変化させて計算。1時間ごとに2時間後までの被曝予測データを、原子力安全委員会に報告しているという。

 原子力安全委員会事務局は「放射性物質の種類や量、放出時間などの推定が粗いので、避難などの判断材料としては使っていない。その状況なので軽々しく公表できない」と説明している。

 一方、長瀧重信・長崎大名誉教授(被曝医療)は「条件がそろわないと予測できないというのはおかしい。国は持っているデータをすべて公開することが大事だ。根拠をもとに住民と相談して、対応を決めるのが原則ではないか」と話している。

 福島第一原発から出た放射性物質の拡散予測について、米原子力規制委員会(NRC)は「あくまで推定で、実際とは異なるかもしれない」と注釈つきで公表。米国はこれらを参考に原発から半径80キロメートル以内にいる米国人に避難を勧告した。また、フランスやオーストリアの研究所なども拡散する様子の動画をホームページなどで公開している。(木村俊介)

アサヒ・コムトップより

_________________

このSPPEDIシステムは国民が自らの税金で
作られたものなのではないか。

それをSPEEDYに開示できない理由は何か。

ガイガーカウンター(放射線物質探知機)が売り切れだ。

しかも昨日ようやくHP上で見つけたら
元値の何倍にもなっている高価格で
その販売姿勢に
ほんとうに放射線を探知できる間違いのない機械なのかどうか
危ぶまれて購入しないことにした。

法律に従ってことは進められているらしいが
法律は今までに予測できなかったことをもとに作成された。
そのような法律にしたがい
これまでに予測できなかったM9.0の地震により
原子力発電所事故を招いたと言っている。

その大きな矛盾を国民に語り続ける
その国家代表に
自らが「知る権利」を与えられない
自らが「選ぶ権利」を与えられない
救われない国民の一人として日々を紡ぐ。

例え事態を知ったとしても
国は何もできないのだろう。

それであれば何も伝えない方が良い。
そのような判断に基づくように思えてならない。

出荷制限は
ホウレンソウ君からさらにパセリさんも
仲間入りした。

そうだ
今日は『星の王子様』と『モモ』を再読しよう。

きっと慰められるだろう。

人間は歴史を繰り返す。

しがない国家システムと怠慢になる役人の姿。
おそろしい時間泥棒の灰色の男たち。

昔からそのような人間の心の落とし穴を
サン・テグジュペリも
ミヒャエル・エンデも
語り継いでくれていたのだったのだから。

Monday, March 21, 2011

◎Nuclear・Not clear

2011年3月21日 春分。
東京は静かな雨模様。

被災地への日本全国・世界各国の募金活動や支援の
貴い知らせが次々とニュースで報じられている。

皆で心を寄せあい
これからの長い道程の復興にむけて
共にどのような支援も協力したいと紡がれていく。

皆ができることを
できるだけしたいという気持ちがかき立てられていく。

今日
福島第一原子力発電所は
15:55
3号機で黒煙があがった。
黒かったり灰色だったりする煙だったという報告と共に
18:00にはフジテレビのニュースで
東京電力から開示された3号機の発煙の写真が映し出される。

建物の被害が以前の建屋より大きく見えるが
これまでの注水によるものなのかどうか。
注水によるものであって欲しいと衷心祈る。

その後
18:20すぎ
2号機のこれまで原子炉建屋に穴があいている個所とは
異なるところから白煙があがったという報せが入っている。
炉心溶融がはじまったと報道されてから数日を経ている2号機。
その後何も報道されていない静けさのなかにあったが
今何が起きているのか。

いずれにしても少し先のことを私達は考えなくてはならない。

サイエンティストコミュニティの方々から
以下のような情報が提供されている。学ばせていただく。

☞ 放射線による内部被爆について
 http://smc-japan.sakura.ne.jp/?p=1310

☞リスクコミュニケーションの前提議論
 http://smc-japan.sakura.ne.jp/?p=1382

☞どこまで放射線があがったら行動を興すべきか
 http://www.irf.se/~yamau/jpn/1103-radiation.html


どうして国は
現在検知されている放射線の種類を伝えないのだろう。

すでに自然界では考えられない放射線物質が5種
検知されていると21:00のNHKニュースで報じられた。

一刻も早く日本は情報開示を行い
世界の叡智ある科学者チームと連携して対策を講じるべきだ。

原子力発電は
天然ウランのうちに0.7%含まれる
核反応するウラン235を低濃縮させて
3〜5%にするのだという。
その核分裂とプルトニウムの生成によって
減速という方法によってウランから中性子を生み出す。

その高速中性子は次のウランにあたってもつきぬけてしまうので
それを水で中性子を減速させて核反応させるという。

炉心が溶けても再臨界になるわけではないが
燃料同士が何かの理由で間隔が近づくと
臨界を向かえるのだという。

燃料は今回の福島の原子炉の場合には
沸騰水型のBWR型といわれる形式で
10mm程の厚さのペレットという燃料が
燃料集合体としてジルコニウム合金の管の中に
重ねられて何本かの燃料棒として十文字の棒が
差し込まれている状況で垂直に位置している。
その棒を引き抜くと中性子反応が起きるのだという。

ウランパレットを重ねた燃料棒は
被覆管というチューブの中にはいっていて水につかっていて
そのまわりを原子炉圧力容器が守り
そのまわりを原子炉格納容器が守り
そのまわりを原子炉建屋(たてや)が守っており
放射能を閉じ込める5重の壁があるから安全だと
国も東京電力も当初から説明を重ねてきた。

昨日のブログで書きしるした後藤氏の話しでは
本日の解説で
すでに明らかに燃料棒はメルト(溶融)している
しかも2号機は格納容器が破れている
3月15日に爆発して深刻化する4号機は
臨界を迎えたのではないかと語られていた。

国はどうしてこれまでこれを
1号機と同じ水蒸気爆発とみられるとばかり語るのだろう。

しかも福島第一原子力発電所3号機ではMOX燃料という
よりリスクのあるやっかいな複合燃料も含まれていて
そこから出てくる別種類の放射線が懸念されると
すでに被災時から科学者の中では考えられている。

あらためて理解不能の内閣官房について
世界の目はきわめて厳しい論調になりつつある。

また今回の地震は国土地理院が時々刻々と
太平洋プレートの動きを見つめてきたことから
予測されていたという。

しかも地震のエネルギーは未だ収まっていないと
懸念する強い声もある。
以下のyoutubeは衝撃的だ。

http://www.youtube.com/watch?v=rpcuM1v90XE

このyoutubeで指摘されている東海沖地震が起きれば
今度はその予測される震源地真上に
静岡県の原子力発電所が位置する。

この場合には津波ではなく直下型地震となるとなれば
いよいよ原子力発電所の燃料同士が揺れて
間隔が近づき『臨界』を迎えることとなる。

それによって何が起きるかは
三五館さんがすでに2006年に出版されていた
食品と暮らしの安全基金の古長谷稔氏が著された
『放射能で首都圏消滅ー誰も知らない震災対策』に詳しい。

そこでは原子力発電所の
・検査の不備
・施工不良
・設計段階の不正
・放射線による劣化
・ひび割れ などの真実の告発も含まれており
この機に本書を読ませていただき慄然とした。

そして本日3月21日の英字新聞デイリー読売の一面には
東京電力が上記についてのまったく嘘の報告を行なっていたと
暴露されている。

日本国内では一切このような情報は出てきていない。

もしも東海地震がきたなら
確実に首都圏はたった6〜8時間後に放射能に汚染されてしまう。
そのリスクよりも
今、日本の大地が揺れていないことの方が奇跡だとも言える。

私たちはもっと自然の威力に対して謙虚にならなくてはならない。
私たちは今回の甚大な被災により緊急に教訓を得なくてならない。

日本国内の原子力発電所は
急ぎ国家緊急対策として総理大臣指示により緊急停止させるべきだ。
それが世界各国に対してどのような支持を得られるものになるかを
菅首相は想像しそのリーダーシップを発揮すべきだ。
ヒーローとして世界の注目の的になるだろう。

原発を停止することで失われる電力供給力があるというのなら
一刻も早くその計算を行い計画停電を東日本に要請すべきだ。
どのくらいライフラインの確保ができるのか
いまどこかで計算が行なわれていて
その原発リスクの回避にむかっていることを切に願う。

しかし官房長官は今日の福島原発の発煙について
「大事に至るとは思っていない、今後慎重に状況を見て
 分析していく」という発表をしている危機認識レベルに留まる。

食品の放射線リスクについても
これまで食したものについては直ちに問題がないが
これまでに福島の原子力発電所事故がもたらした放射線汚染の
リスクを国民に伝え
ホウレンソウ・カキナ・生乳以外の品目についても
一旦農家の方々の経済的損失の波及があったとしても
当然のことながら
福島・宮城・栃木・群馬・茨城・千葉においては出荷凍結を行い
綿密な放射線汚染リスクを研究・分析・確認・確証を得て
安全保障と保護のもとに再出荷許可しなくてはならないはずだ。

今回の出荷制限は風評被害を回避するために
最も放射線汚染を受け止めやすい葉の広がりのある形態をした
ホウレンソウとカキナに限ったのだという。

放射線汚染は
確かにまだ土壌から野菜中の成分に浸透している時期ではないだろう。
であればよく洗って放射能を荒い落としてから食するということ
土壌の放射線汚染や空気の放射線汚染から
野菜を遠ざける方法を明確に国から早め早めに指示を
具体的に出すべきだ。

ただ海洋の水質汚染は免れないだろう。

最終的には直ちに環境汚染状況のリスクの事実を明示した方が
長期的に見て国家保障額は少なくてよくなるはずだ。
それができなければ今後甚大な被害へと事は広がり
国家は国民に対して救済保障は無機能となり
あわせてその代償を国民自らが国家によって
負わされることになることは明らかだろう。

直ちに内閣官房が発しなくてならない
本質的な発令をどのようにしたら実現できうるのか。

一国民としての無力さを重い心沈む。

福島第一原子力発電所の1号機2号機の冷却のために
電源復旧を行なったというが
通電してリスクがないかどうかをこれから検討するうちに
炉心溶融が進行し間に合わなくなることがないことを
神様に祈るばかりだ。

日本の報道は放射線量が減っているという
日本の科学者のコメントを報じているが
半減期が30年であるセシウムがその時その時に
放射線量で減っているといっても蓄積もみるべきではないか。

どうか日本国内だけでどうにかしようとするのではなく
本質的にこの問題解決のために理解協力を願う
世界中のプロフェッショナル達と連携とその成功をも
神様に祈る。

放水作業を現場で行なわれる隊員の方々の胸の放射線検知計器が
ずっとピーっとアラームがなり続けていたという。
自衛隊の方々が貴い命をかけて放水冷却を行なわれることの
本質的な意味が長期的にどれだけあるのか。
放水をどれだけ続けて冷やせば安全確保されるのか。

専門的叡智がないままに応急処置が行なわれる
この方法しか対処しようのない今。

その成功確証がどこからも現在発表されていないと思い立ち
あらためて対処療法に慄然とする悲しみの夜。

Sunday, March 20, 2011

◎Miss・Mass

今回の福島県第一原子力発電所の冷却制御不能事故により
想像はしていたが
いよいよ懸念していたフェーズに進みつつある。

以下、日本経済新聞より

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茨城産ホウレンソウ、福島産原乳から基準超す放射能
官房長官会見、県は出荷停止要請
2011/3/19 18:45

http://s.nikkei.com/fEqJgU
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枝野幸男官房長官は19日午後の記者会見で
いずれも一部地域で採取された
茨城県産のホウレンソウと福島県産の原乳から
厚生労働省が定めた暫定基準値を上回る放射能を検出したと発表。

検出された食品は食品衛生法に基づき出荷できない。

枝野官房長官は
「直ちに健康に影響する数値ではない」として
冷静な対応を求めているというが
冗談ではない。

数日前の記者会見でも
官房長官はこの「直ちに・・ではない」を
たいへん強調して繰り返し述べ続けている。

その「直ちに」の意味は何か?
「直ちに」でなければ問題がないのか?
怒りを覚える。

「直ちに」に続く「その後」の想像力を持ち得ないのか?
次世代を担いこれからの生命を紡ぐ子どもたち
その「子どもたちの未来」への被爆リスクを想定できないのか?

長期的リスク管理がまったく不能であるということだ。


暫定基準値は福島第1原子力発電所の事故を受け
厚労省が17日に初めて策定。
正式には国の食品安全委員会に諮問して決めるが
想定外の事故のため暫定的に決めた。
同法に基づき
基準値を超えた食品の販売や加工などはできないという。

しかしながら昨年から映画THE COVEについて調べ
日本の水産物に関する国内の食品安全について
食品安全委員会にさまざま尋ねて情報収集したが
実はこの食品安全委員会は
恐ろしいことに
現況の食品安全についてまったく掌握していない。

というのもこの委員会は厚生省から要請された
安全調査事項について
監督調査機関は自らがもっておらず
既に提出されている文献調査を行なうのみにとどまる
委員会であるということだ。
それが科学的安全基準を充たしているということだからだ。

これがどんなに危険なことかわかるだろう。
今ここで起きていることが科学的実証論文になるまでには
たいへんなタイムラグが生じるからだ。

つまり日本は管理監督機能が停止していることになる。

鯨の水銀汚染リスクについて
特に子供たちへの影響については
真摯に見つめるべきであると調査してみたが
以下のレベルの食品安全レベルの掲示に留まる。

国のリスク評価は極めて曖昧なものだ。
全く信じられないことに1970年から
1980年代のデンマークのフェロー諸島と
セーシェル諸島の調査結果に
根拠を置くままだった。

http://www.fsc.go.jp/sonota/kikansi/4gou/4gou_6.pdf

このパターンは今回の放射能汚染における
「直ちに健康に影響を与える物ではない」という
情報開示に近いではないか。

しかし昨年3月から5月まで調査していた頃から進化した
新たな論文もその後の8月に開示されていることを
今日いろいろ見ていて発見した。

http://bit.ly/fCj2qP

国には一刻も早く、より新しい情報を通じて
真摯な取組みと情報開示を進め整備し
国民のための生活安全保障を行なって欲しい。

しかし「要請」がなければ調査が消えてしまうのが
この国のシステムだ。

このため環境リスクについては
国内で次世代の子供たちのために
正確かつ誠実な調査が行なわれているかどうか
どこが調査しているのか教えていただきたいと
お願いしたところ
それは環境省で子供に対する影響を調査していくため
昨年からようやく環境調査に乗り出したと言う。
昨年はモニターとなる子供と親のリクルーティングを行い
これから20年かけてデータをとっていくのだという。

「では結果が出るのは20年後ですか?」と伺えば
「そういうことになりますね」とあっさり。
環境省の窓口ご担当者の答えにはがっくり脱力した。

どうも膨大にお金がかかるので
時間をかけなければできないプロジェクトなのだという。
それにしてはそのHPは何だかちぐはぐに思える。

このエコチルという名称のHPはこちら。

http://www.env.go.jp/chemi/ceh/

いかにゆるいのんびりとした調査だろう。
管理体制のできていない現国家に心痛の思いがする。
現代を生きている子どもたちを調査対象にして
結果を出して対策を講じるのは20年後だということだ。

どういうことなのか失望にさいなまれ
昨年来
日本という国家への信頼が失墜してしまったのだ。

けれども
日本国民の一人としてできることは
こうしてBlogに書き記すことと
要請を受けた場合に冊子への投稿を行なうことぐらいだ。

自らの無力さを恥じる。
どのようにすればよいのだろう。

今回の放射線・放射能についても同様だ。

環境省では環境放射線モニタリングについては
比較的人による影響が少ないとされる離島などで
大気中の放射性物質*1を日々測定したり
大気中の浮遊じん、陸水、土壌などを随時採取して
分析を行われているという。
 この調査を行うことで
一般環境中の放射性物質の濃度の変化を監視することができ
国内や海外で原子力災害や事故が発生したときや
海外での核実験が行われたとき
国内の影響を速やかに把握することができるというが
果たして離島で調べている場合ではないのではないか。

どうしてこのような調査方法となるのか?

http://www.env.go.jp/jishin/monitor110319.pdf

この調査は
環境省設置法(平成11年法律第101号)第4条第22号チ
(「放射性物質に係る環境の状況の把握のための
 監視及び測定」)に基づき平成21年3月まで行なっている。

では、それ以降は?

更に、気になる事が書いてある。

*4  90Sr(ストロンチウム90)、137Cs(セシウム137)は
放射化学分析
その他γ線放出核種については
γ線スペクトロメトリーで定量している。

90Srと137Csを選択して分析する理由
大気圏内の核実験により環境中に放出された放射性物質は
時間の経過とともに自然に崩壊するが
90Srや137Csは、核分裂によって生成する量も多く半減期も長いので
長期間にわたり環境中に存在することになる
(90Srの半減期:29年、137Csの半減期:30年
最後の大気圏内核実験は1981年)。
また、90Srは人体内では主に骨などに蓄積し
137Csは全身の筋肉などに蓄積することから
この2物質は人体への影響を見る上で重要な指標となっている。

http://housyasen.taiki.go.jp/about_monitoring.html

しかも
上記4番目の緊急時の測定間隔等では
国内外での放射性物質による事故が発生したときは
その影響を速やかに把握する必要があることから
通常時よりも測定間隔や集じん時間を短くして測定を行うとある。

なんとのんびりした観測体制であることだろう。

今回の事故により
より広域のモニタリングポストを設けている
文部科学省の発表は以下。

http://eq.yahoo.co.jp/

文部科学省は今回の事故に関して各地で
モニタリングポストから得ている調査データを
官房から公開しないようにと指示を受けていると聞いた。

どういうことか?

データは明らかに日々高まっている。
しかもモニタリングされている場所は
ものすごく限られている。

どうしたことか?

福島を囲み
よりポストが多く設置され宮城・茨城・栃木・群馬・埼玉と
より詳細にデータを追跡していただけなくては
食品も水も空気も
私達は安心して摂取することができない。

「直ちに健康に害を及ぼさない」内部被爆を
国はどのように考えているのか?

小さな判断ミスが重なれば
ある時これは重要かつ深刻な大きなミスへの
クリティカル・マス(臨界値)に達してしまう。

すでに政府は福島第一原子力発電所の初動ミスについて
痛感しているはずなのに感覚が鈍すぎるのではないか?

それとも何か未だ隠し立てしなくてはならない
国民への情報開示ができない大きな理由があるのか?

風評パニックを想定してからなのか。
けれど情報開示の拙さは信頼をなくす。
かえって不安を大きくさせていく。

厚労省によると
3月19日時点で
茨城県高萩市のホウレンソウからは
放射性ヨウ素が1キログラム当たり1万5020ベクレル。
同省の基準値(同2000ベクレル)の7倍強。

放射性セシウムも同524ベクレルを検出され
基準値(同500ベクレル)をわずかに上回った。

日立市や東海村などのホウレンソウからも
基準値の3~7倍程度となる放射性ヨウ素を検出した。

福島県川俣町で採取された原乳からは
放射性ヨウ素が同932~1510ベクレルが検出され
基準値(同300ベクレル)の3~5倍。
一部の原乳からは放射性セシウムも
基準値(同200ベクレル)を下回るものの
同18.4ベクレルを検出した。

農林水産省の統計によれば
全国のホウレンソウの収穫量は2009年で28万6300トン。
茨城県産のシェアは1万6600トンで全国の5.8%。
東京都中央卸売市場では年間入荷量の2割を占めている。

同市場の10年の統計では
3月に入荷するホウレンソウの29%は茨城産で
農水省がまとめた牛乳など乳製品の原料となる
生乳の全国生産量(10年)は772万382トン。
福島県の生産量は10万1407トンで、全国の1%程度。

これに対し
茨城産ホウレンソウ
福島産原乳から基準超す放射能 により
官房長官会見
県は出荷停止要請を行なったというが
原発事故は現在進行中。

これに対し
東電は国と共に対象となる茨城・福島などの
特定エリアの生産者に対して
賠償をしていくと声明を出しているが
この発想自体に狂いがあるのではないか。

ホウレンソウと生乳だけを
放射線くんが選んで被ばくさせるのだろうか?
ホウレンソウと生乳を放射線試験して
リスクが出たからといって
ホウレンソウと生乳と
そのホウレンソウの親戚筋であるカキナのみを
出荷制限しているとは?

品目については
ホウレンソウくんとカキナさんが
形態が同様に似ているからそのような
限られた出荷制限対応をしているという。

「今回の品目の摂取をしたからといって
 直ちに健康に影響を与えるわけではないので
 冷静に対応するように」と
過剰反応をしないようにと未だいっている。

「直ちに」の言葉と
「法律により」という規制の言い訳をなぜ残すのか?
専門的知識がなさすぎるのではないか。

ホウレンソウと生乳の生産者への保障は
東京電力が中心となって保障すると枝野官房長官が言う。
それでできない場合は、国も支援すると言う。

そのようなことに留まっている場合ではない。

本来は国家危機にあたり安全確認できるまでは
すべてのエリアからのをすべてストップしていくこと。
避難エリアについても
子どもたちの移動を急ぎ検討されなくてははならない。

国は事の重大さとその半減期の長期リスクを
まったく理解されていないか
風評パニックを恐れているためか
あまりにもリスク管理についての能力に欠けている。

生産者の経済的被害のリスクの前に
リスク管理を国民に伝えなければいけない。

ホウレンソウとカキナと生乳だけでなく
福島・茨城・栃木・群馬の出荷制限だけでなく。

ここに限ったことではなく
安全な食品管理・環境管理を奪われている
国民全員に対しての安全保障・生活保障と
賠償が必要になることに気づいていても
初動については最小限の対処しか何もできないのだろうか。

今も放射線は日本の福島を中心に空気中に
また海洋中に土壌中に拡散しつつある。

ひいては地球上全体の環境汚染ー
直ちに身体に影響を及ぼすものでなくとも
同じ地球に住む人皆に不安と恐怖を与えていることに
気づけていないのだろうか。

魚は泳ぎ回る。
風向きは日本の上空に留まるだけでは無い。
日本からの食品の輸出も
いえ食品にとどまらず物質すべてが
被爆の可能性があるとして海外輸出できなくならないか。

安全だといくらアピールしても
海外から日本に入国される人も激減するだろう。
急ぎ海外退去した外国人の方々が
あらためて日本入国をしてくれるのか。

海外からの日本国退去の避難命令は3/16。
日本の外務省はそのような急ぎ国外退避をする外国人への
出国手続きについて印鑑を押すことの手続き一つとっても
並みいる人たちを何時間も待たせたと聞く。

今はマグニチュード9.0の巨大地震と津波の被災により
日本に対して共感を示し日本を応援してくれているが
それに対して日本が示す海外への情報開示の貧しさと
驕りのようにうつるであろう失策は救われない。

日本政府からの入国許可がおりず
第1陣の救援隊は日本に入国し援助尽力に向かうという
ニュースが報道されたが
その後の手を差し伸べる海外からの支援承認しないまま
国外に待たせ続けており
その後の第2陣・第3陣の海外支援部隊の救援ニュースは
全く報道されない。
ようやく陸海空の3つの合同自衛隊体制と米軍の
核のプロフェッショナルが共に作戦会議を行なうことに
なったという報道が3/20に伝えられたところだ。

おそらくは法律に準じてできること・できないことがあり
決定は閣議で行なわないと責任問題になるという構造にあって
環境問題や食品問題と同じように無責任に終始する。

なんという愚かな政策だろう。

どうか最低限の環境汚染でとどまりますように。
どうか最低限の原子力被災でとどまりますように。

いまはただ祈るだけであることに
国家の無機能・無連帯に深く悲しみを思う。

この先
日本国家は大いに非難され
その世界的地位の失墜を免れないだろう。

一方で
日本国民は大いに哀れみを受け
その世界的共感の中で新たな国策を
自らが生み出していかなくてはならない。

ほんとうに環境によいことを。
ほんとうに世界によいことを。
ほんとうに未来によいことを。

そして、私たちが住む地球にほんとうによいことを。

◎Appear・Disappear

前回の◎Damage・ImageのBlogを記した際に
引用紹介でリンクを貼っていた日本経済新聞

ー動かぬ輸送船、沈黙の原子力安全委 
「政治主導」機能せずーに

リンクが飛ばなくなってしまっていた。
リンク先が変わったようだ。

丁度ご依頼いただいていた月刊「カレント」への
原稿を書かせていただくため
震災以後の日本のメディア動向を追いかけていた。

____________________

政府、複合危機に立ちすくむ 
ー動かぬ輸送船、沈黙の原子力安全委 
「政治主導」機能せずー
2011/3/18 4:00 (2011/3/18 10:28更新)

http://s.nikkei.com/fZ3EZZ
____________________


Googleからサイトを探し出した。
上記リンクは、また繋がる。
しかし明日ニュースが更新されれば
またリンクが繋がらなくなるだろう。

以下に日経新聞の記録をもとに
ニュース概要をまとめておきたい。

未曽有の災害となった東日本巨大地震に立ち向かう政府の危機管理に批判が強まってきた。
阪神大震災以来、政府は危機管理体制の強化を進めてきたが地震と津波、原子力発電所の事故と同時に発生した
複合危機に対応しきれていない。

政治家と官僚の連携や民間企業との意思疎通も十分とは言えない。危機はなお進行中で、態勢の立て直しは待ったなしだと日経新聞は指摘する。

「首相官邸は原子力発電所の事故対応に追われ、被災地の復旧・復興計画にまで手が回っていない」。内閣官房のある幹部はこうこぼした。食料や燃料などの不足に真冬並みの寒さが襲う被災地。救援物資を海上から運び込むため宮城県の仙台塩釜港と岩手県の釜石港、宮古港を16日までに復旧し国土交通省は輸送船も船会社9社の17~18隻を確保した。だが、これら船舶はいまだに待機中だ。

どんな物資をどこに運ぶかは首相官邸の緊急災害対策本部が一元的に決めるが「具体的な要請が下りてこない」(同省海事局)ためなのだという。

政府内には地震発生後、様々な組織が設置され首相と全閣僚の緊急災害対策本部だけで開催数は12回に及んだ。官邸の首相執務室前にはレクチャーのための官僚が列をなす。だが「菅直人首相と枝野幸男官房長官で適切な判断ができているか」となると、関係者は口を濁す。

首相は15日に東京電力本店を訪れ、官邸への連絡遅れなど、同社の原発事故対応を叱責した。これには野党などから「最高責任者が民間企業に出向いて怒声を上げるのはいかがか」との指摘もでた。しかし、首相は周辺に「東電には福島第1原発が、最悪の事態になったら東日本がつぶれる、という危機感が薄い。だから乗り込んだんだ」と力説しているという。

雄弁な首相官邸と対照的に、原発の安全規制について検討する原子力安全委員会(班目春樹委員長)は沈黙する。
同委がある合同庁舎4号館6階の入り口はロープが張られ、近づけない状況だという。

原子力安全委の関係者は「原発事故への対応は官邸に一元化している。情報が漏れないための措置」と説明する。
だが、背景に「政治主導」にこだわる民主党政権と「責任は政治にある」と言わんばかりの官僚のすれ違いがある――。
そんな指摘は少なくない。

枝野氏は16日、原発事故に絡む放射線量上昇の理由について経済産業省原子力安全・保安院と異なる説明をし、結局発言を修正。
敏感な問題だけに「なぜ官僚を同席させないのか。間違いはその場で正さないと影響が大きい」との声が上がった。

相次ぐ初歩的なミスが、政と官の連携不足をあらわにする。首相が記者会見で「了承した」と説明した、東京電力による計画停電(輪番停電)。初日から混乱続きの一因は、政府内の調整不足にあるとの見方が多い。

東京電力は13日夜、官邸の了解を得たうえで計画停電を決めた。だが国交省鉄道局は東電から説明を直接受けられず、首都圏の鉄道会社もダイヤ変更に追われた。

経産省内でも、発表まで計画停電を知らなかった部局も少なくない。省内からは「もっと早く知っていたら、企業への周知もできた」と
不満も漏れる。遅まきながら、同省は東電との間で生活に密接に関連する、大口需要家を計画停電の対象から外す案を検討中だ。

震災発生から7日。首相は隣接する首相公邸にも帰らず、官邸内にこもっている。枝野長官も2度、敷地内の官房長官公邸に足を運んだだけだ。

「死力を尽くしてこの状態を乗り越えたい」。首相は17日夜の緊急災害対策本部でこう語ったが、危機管理は結果責任。首相が背負った課題は重い。

「首相官邸は原子力発電所の事故対応に追われ、被災地の復旧・復興計画にまで手が回っていない」。内閣官房のある幹部はこうこぼす。

食料や燃料などの不足に真冬並みの寒さが襲う被災地。救援物資を海上から運び込むため、宮城県の仙台塩釜港と岩手県の釜石港、宮古港を16日までに復旧し、国土交通省は輸送船も船会社9社の17~18隻を確保した。だが、これら船舶はいまだに待機中だ。

どんな物資をどこに運ぶかは首相官邸の緊急災害対策本部が、一元的に決めるが、「具体的な要請が下りてこない」(同省海事局)ためだ。

政府内には地震発生後、様々な組織が設置され、首相と全閣僚の緊急災害対策本部だけで開催数は12回に及んだ。官邸の首相執務室前にはレクチャーのための官僚が列をなす。だが「菅直人首相と枝野幸男官房長官で適切な判断ができているか」となると、関係者は口を濁す。


首相は15日に東京電力本店を訪れ、官邸への連絡遅れなど、同社の原発事故対応を叱責した。これには野党などから「最高責任者が民間企業に出向いて、怒声を上げるのはいかがか」との指摘もでた。しかし、首相は周辺に「東電には福島第1原発が、最悪の事態になったら東日本がつぶれる、という危機感が薄い。だから乗り込んだんだ」と力説しているという。

雄弁な首相官邸と対照的に、原発の安全規制について検討する原子力安全委員会(班目春樹委員長)は沈黙する。同委がある合同庁舎4号館6階の入り口はロープが張られ、近づけない。

原子力安全委の関係者は「原発事故への対応は官邸に一元化している。情報が漏れないための措置」と説明する。だが、背景に「政治主導」にこだわる民主党政権と「責任は政治にある」と言わんばかりの官僚のすれ違いがある――。そんな指摘は少なくない。

枝野氏は16日、原発事故に絡む放射線量上昇の理由について、経済産業省原子力安全・保安院と異なる説明をし、結局発言を修正。
敏感な問題だけに「なぜ官僚を同席させないのか。間違いはその場で正さないと影響が大きい」との声が上がった。

相次ぐ初歩的なミスが、政と官の連携不足をあらわにする。首相が記者会見で「了承した」と説明した
東京電力による計画停電(輪番停電)。初日から混乱続きの一因は、政府内の調整不足にあるとの見方が多い。

東京電力は13日夜、官邸の了解を得たうえで計画停電を決めた。だが国交省鉄道局は東電から説明を直接受けられず、首都圏の鉄道会社もダイヤ変更に追われた。

経産省内でも、発表まで計画停電を知らなかった部局も少なくない。省内からは「もっと早く知っていたら、企業への周知もできた」と不満も漏れる。遅まきながら、同省は東電との間で生活に密接に関連する、大口需要家を計画停電の対象から外す案を検討中だ。

震災発生から7日。首相は隣接する首相公邸にも帰らず、官邸内にこもっている。
枝野長官も2度、敷地内の官房長官公邸に足を運んだだけだ。

「死力を尽くしてこの状態を乗り越えたい」。首相は17日夜の緊急災害対策本部でこう語ったが、危機管理は結果責任。
首相が背負った課題は重いと日経新聞は指摘している。

ニュースそのものを全読された方は気づかれたと思うが
同じ文章が二度
繰り返されて掲載されている。

それほどの強調を意図して図られているのかと
訝しく思ってしまうほど本質の情報開示がなされていて
この10日間ずっと心重く悲しみに感じていた事が
そのままに記事なっていた。

しかもこの情報は
日々新たに積み上がっていく別の新たなニュースのもとに
どんどん国民の目から消え去り
その時のリアルな意識や記憶もやがて忘れさられていく。

この重い国家状況を
この先私たち国民は
どのように何に努めていけばよろしいのかと
考え込んでしまう。

今(3/20 20:20)
インターネットストリーミングCNICにて
東芝製の原子力発電所に詳しい
後藤政志氏 (元東芝原子力設計技術者)の解説を聞いている。

http://www.ustream.tv/channel/cnic-news

http://www.cnic.jp/

制御不能となり懸命の冷却作業が進んでいる
福島第一原子力発電所の原子力溶炉の事故状況のこれからの
シナリオについて深刻に話されている。

決して一般のテレビメディアでは放映することが
できるものではないだろう。

炉心は溶融している。
溶融は進行している。
これらは、すでにNHKニュースが3月14日の時点で
1号機・2号機・3号機共に図解しながら
炉心溶融という表示を掲げてニュース解説をしていた。
しかし、その後、1号機・2号機の情報は
ぱったりと止まった。炉心溶融の解説について
NHKもその2日後より表示をしなくなった。

現在は3号機・4号機の冷却作業情報のみが伝えられ
1号機・2号機は電気ライフライン復旧の情報のみ。
原子炉の現況モニタリング結果について伝えられないのは
管理機器測定が不能だからか。

幸いにして冷却が決死のハイパーレスキュー隊の方々の
尊いご活動により3号機の冷却プールへの注水が進められ
成功裡に進んでいると報じられているが
ここまでに至ってしまったことの初動の東京電力と
官房対策の遅れと専門性を重視しない失策に
私達は忸怩たる悔恨を思うばかりだ。

日本の救世主となるこの任務を自ら申し出られ
務めてくださった方々にその被爆を想い
衷心より重い悲しみから敬意と感謝と謝意を
捧げなくてはならなくなった。

後藤氏は
原子力は冷却を行なうだけで
その火を消すことのできないものであって
これからずっと冷却し続ける
おもりをしつづけていかなくてはならない
わがままなやっかいさがあり
現在は幸いにして未だ原子炉内に炉心が揺れずに
倒れ込まない状況になっているが
もしもまた揺れが生じたなら
原子炉にぶつかり
たいへん危険な状況を招く事もあると証言されている。

日本はこの地震・津波をどのように想定し
この原子力発電所の危機管理を行なってきたのかと
海外メディアから質問を受け続けていると言う。

この危機状況に
どうして政府は初動に国内外の専門家・技術者を召集し
ことに対応できなかったのか。
無力感と共に
ただこの先の無事を祈るしか無い。


また、関連してもう一件のニュース。
こちらも、やがてリンクがつながらなくなると
思われるので内容を努めてまとめ記しておきたい。
____________________

原発対応が後手に 政府、東電批判繰り返す
2011/3/15 10:28

http://s.nikkei.com/gsml3i

上記日本経済新聞によれば
政府は15日、東京電力福島第1原子力発電所の事故に対応するため東電との統合連絡本部を設置したが、すでに巨大地震発生から5日目に入っている。深刻な被害を目の前にしながら、原発対応を事実上、東電に丸投げしてきた政府の危機管理にも批判が出てきた。

「テレビで(12日の1号機の)爆発が放映されているのに、首相官邸には1時間ぐらい連絡がなかった。いったいどうなっているんだ」。菅直人首相は15日午前、対策本部が置かれた東電本店の一室で、こう声を荒らげた。「あなたたちしかいない。撤退などあり得ない。覚悟を決めてください」。東電幹部らをこうも叱責したという。

首相は巨大地震発生以降、「しっかり対応し、情報を提供していく」と強調してきた。しかし、12日の1号機の水素爆発や14日の3号機の水素爆発、二転三転した計画停電など、国民が東電に不信を抱く場面が何度も繰り返されるなか、「東電から官邸に届いた情報が正確でなかった」(枝野幸男官房長官)など政府側の口から出るのは東電批判ばかりだった。

一方で東電にすれば、専門的な情報を含めてすべて政府の目を通さなければ公表できないとの思いが強く、対応が後手に回った面もある。互いに最終的な責任を押し付けあった感は否めない。

政府が原発問題で陣頭指揮を執れば、早い時期に米国や国際原子力機関(IAEA)などと協力できた可能性もある。11日に原子炉が冷却機能を失った時点で「国家を揺るがす重大事故」として政府が主導権を握るべきだったとの声もある。

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関連して以下もリンク先を貼っておきたい。

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首相、3日ぶり質疑応答 意気込み空回り気味
疲労蓄積で公邸へ
2011/3/18 22:15

http://s.nikkei.com/fl3h9b

こちらもリンクがこの先変わってしまって
情報が新たな情報の中に潜ってしまうと
なかなか検索で探索できなくなる可能性があるので
日経新聞によるニュースの概要をまとめしるしておきたい。

菅直人首相は18日夜、東日本大震災の発生後1週間の記者会見を開き、「戦後最大の危機にくじけているわけにはいかない。一緒に頑張ろう」と呼びかけた。質問にも3問答えた。15日の記者会見でも1問だけ答えたが、記者とのやり取りが成立したのはそれ以来3日ぶりだ。首相は震災後、質疑を極端に避け、一方的に主張する場面が多くなった。疲労が蓄積しているとの見方もある。

記者会見する菅首相(18日午後、首相官邸)の写真が添えられている。

首相は記者会見で、地震・津波の災害と、原子力発電所事故を「2つの危機」と表現。とりわけ原発対応について「決死の覚悟で最大限の努力を尽くしている。必ずや乗り越えて国民に安心を取り戻したい」と訴えた。

震災後の首相の記者会見は「国民向けメッセージ」を述べるとそのまま立ち去り、記者との質疑応答は枝野幸男官房長官に任せるスタイル。少なくとも1日1回、記者団と質疑応答するぶら下がり取材は「震災対応に専念する」(周辺)との理由から拒否してきた。

18日夜の記者会見は、記者から「総理」と呼び止められ、首相が短時間、質疑に応じた。ただ、閣僚3人増など体制強化の動きの説明を求められても「対応力を高めてこの危機を乗り越えたい」と決意表明に終始した。

専念している震災対応では、首相の意気込みが空回り気味だ。15日朝には東京電力本店に乗り込んで同社幹部を叱責。政府筋は「菅直人が首相ではなかったら大変なことになっていた。東電本店に乗り込んだのは素晴らしい決断だ」と持ち上げる。だが、野党には「不眠不休で頑張る社員を叱っても改善を促せない」(自民党の石破茂政調会長)との批判が多い。

首相は18日午後、笹森清内閣特別顧問と会談。笹森氏から「できれば現場に行って命をかけている人に士気を鼓舞してほしい」と持ちかけられると、首相は「分かった」と応じた。21日の被災地訪問を検討しているというが、政府内には「現場の負担になる」と首相主導にも懐疑的だ。

首相は18日夜、記者団に「ご苦労さん」と声をかけ、1週間ぶりに首相公邸に戻った。震災発生以来、首相は防災服にスニーカー姿。公邸にも戻らず、仮眠をとるときも官邸執務室のソファで横になる程度だった。枝野長官は「判断に悪影響を与えない程度に休んでいる」というが、震災対応の長期化は首相の体調管理も課題になると日本経済新聞紙上では指摘されている。
____________________

現首相を
そして
現官房長官を
個人的に非難することは避けたい。
ただ空しいし悲しさと虚しさが残る。

憤りというよりも空虚感が襲うのはなぜだろう。
あまりにも何も知らない
純粋な子供のような様相だからか。

ドイツの友人から
「だいじょうぶ?」とメールを受けた。
現政権の無能無策を伝えたら
「それを選んだのも国民です」と
手厳しい返信メール。
ちょっとへこんだ。

ただ経験なく対応能力がないのであれば
最善の取組みができる人物や機関に正直に相談すべきだ。
わからないのであればわからないと正直に開示すべきだ。

国家を守り、国民を守る。
それが「首長」として「公人」としての使命であり役目だ。

守り方がわからないのであれば
私たちは守り方を探らなくてはならない。
それはこれまでの私たちのやり方では不可能なのかもしれない。
であれば
あたらしいやり方を考えぬいて
いままでにない方策に向かうことができなくてはならない。
その具体的方策の審議こそが国会で行なわれなくてはならない。

今のように組閣の方法を審議するだけではだめだろう。
もっと民間と官僚と海外のインテリジェンスと
つながらなくてはならない。
それは明治時代に興った「和魂洋才」にかわる
21世紀の「輪魂優才」へ。
世界をつなぐスピリットが
優れたインテリジェンスによって
輪となり進化・深化しなくてはならない。

現政権が
日頃から真摯にものごとにあたっていることを
国民は信じてきただろうし
もうほんとうにだめだなあと思っても
これから学習してゆけば
きっとよくなるはずだろうと
国民は寛容に見守ってきたのかも知れない。

確かに国民は脱自民党政権から
現在の民主党政権を過去に選択したのだった。
でも、あまりにも無策で稚拙であることが
ことあるごとに露出した。
それは真のまなざしをもって
内閣府や首相官邸のHPを追いかけていけば
政治ショーにとどまる
真実の中身がないことに気づかざるを得ない。

そう気づいていたとしても
どうせ政治はかわらないと
匙を投げてしまっていたのかも知れない。

深く反省しなくてはならない。

こうして目の前の危機状況に対応できない能力にとどまり
この期に及んで
皆でやりましょうと「大連立」をのぞんで
各政党代表に直接の電話をしている
そのような政治的国策しかできない国家代表を鑑み
私達は未来の正しい選択のために
正しい行動について真に考え抜かなくてはならない。

次世代が担わなくてはならない日本の負債と国家危機。

GDP225%という世界の赤字国第二位のギリシャの
二倍の赤字の現状にある世界トップの赤字国家が
まったく方策をもたないままに至っている事実は
次世代の未来を奪っているのも同然であることを
私たちはこれまでにも声に出してきたけれど
なにかの方策によって行動に移さなくてはならない。

1.国家機能を麻痺させてきた議員一同は一度
  国民により賄われていた自らの「給与額」を開示し
  機能不全分を供出し国民の審判を仰がなくてはならない。
  (なぜならば全てが政治と金に基づき今後消費税を
   あげることなどでは解決に至らなくなったから)

2.日本国家の統治システムのリソースをもう一度
  国民により理解されるべく「見える化」を実施し
  すべて透明性をもって開示しなくてはならない。
  (なぜならば全てが法律に基づいて行われたことで
   深刻な危機管理が機能不全に至ったから)

3.議員一同はこれからの国家対策について皆一度
  一人一人がプレゼンテーションツールを制作し
  そのビジョンと実施能力を説得しなくてならない。
  (なぜならば全てが政党政治に基づき利権を
   追う議員ばかりでその中身が不明に至ったから)

今日
原発から30km圏で自宅避難して様子をみていた
福島県いわきの小さな子供連れの親戚が
ようやく車の燃料を入手して東京にやってきた。

しばらく拙宅に滞在する。

三歳と六歳の小さな兄弟は疲れをしらない。
「ハイパーレスキュー、びゅーん」と言いながら
大好きな消防自動車のミニカーを走らせている。
テレビから伝え聞く言葉のニュアンスを
こんなにも瞬時に掴んでいるのかと驚かされる。

エネルギーがありあまっているようで
部屋にじっとしているなんてできない様子。

屋上の東京タワーを見せようと思って
「屋上の遊び場にいこうか?」と連れて行ったら
「遊ぶものがないじゃん」としゅんとされてしまった。

ごめんごめん。

それから手をつないで近くのロボット公園へ。
ごきげんな滑り台が幾つもあって
彼らもごきげん。

風に乗ってすーっと滑り降りては
また駆けのぼり繰り返す。

未来の風を感じた。

この生命の光を未来に輝かせなくてはならない。

それが「大人の使命」だ。

人から聞いたことをただ国民に伝達し
きっちり・しっかりやらせていただいていますという
未明な言い訳や言い逃れの言葉しか使うことができずに
子供の使いのような官房機能しかできない
そのような今の日本の内閣を悲しく思う
春分を前に満月の彼岸。

窓辺の桜の蕾が
間もなくの開花を知らせるほどに
日々膨らんでゆく姿に心慰められながら。