◎Wonderland・Dreamland-1
昨日は所用があり
日帰りで滋賀県の紫香楽にあるMIHO MUSEUMへ
片道6時間づつを往復走破した。
リサと共に明け方5時の東京を発ち
MIHOの美の聖地への道は
だんだんに夜が明け行くトワイライトゾーンを駆け抜ける。
走行13万キロに到達している愛車BMWの快走。
紫香楽の木漏れ日がゆれる森林の中で
ほっと一息ついたのはお昼も近い11時だった。
MIHO MUSEUMの研ぎ澄まされた審美に満ちた静謐なる
その空間内で
夜な夜なインスパイアされて奏でる音楽を収録するために
米国から来日されているPaul Winter氏との出逢いを
このたびはお誘いいただいた幸福!
重ねて伊藤若冲のワンダーランドに親しむ好福!
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MIHO MUSEUMのキュレーターの方々のHospitalityには
いつもその展示作品のしつらいやはからいの知性の
懐の深さ具合を通じて実に感じ入ってしまう。
開館以来のその品位と共に展示の質の高さは
世界中から注目を浴びていることは周知の事実ながら
見せる者としての偉高さであるとか
威厳のような敷居は取り払われていて
いつでも見るものの目線に合わせた
親愛の情に満ちて寛容さに溢れている。
このたびの伊藤若冲の白い象と黒い鯨の六曲一双の大屏風が
昨年に北陸地方の旧家で発見されて
MIHO MUSEUMに所蔵されて丁寧な修復が施されての
初おめみえの機会。
各縦1・59メートル、横3・54メートル。
その作品を前にだれもが「おお!」と声をあげる迫力。
なんといっても
右隻に大地の最大の動物である象と
左隻に大海の最大の動物である鯨の
対の姿は若冲翁ならではの構図と
ユニークかつ思索に満ちたデフォルメによって
尚一層の迫る力が満ち満ちている。
伊藤若冲83歳の時の作品と研究されているけれど
その漲る力は見るものに何を残そうとしたのだろうと
想像が凛々とあふれるばかりにわくわくどきどき
不可思議な好奇心を旺盛にさせられる。
ご案内いただいた方の内緒のお話では
その価値が知られないままに
この大屏風の前では
煙草ぷかぷか麻雀じゃらじゃらが繰り広げられていたのだというから
可笑し味も尚一層増すというもの。
これまでに一気に盛り上がった若冲ブームのおかげで
六本木ヒルズや国立博物館や京都相国寺さんで
若冲の作品展示を数多く拝見を重ねて来たのだけれど
今回のMIHOの展覧会では
伊藤若冲という人物への柔らかな眼差しが豊かに行き届いていて
一巡一覧し終えた後には作品の印象と共に
若冲翁を親しく偲ぶような感慨に包まれていた。
もともと80歳の時にも同じ構図で象鯨図屏風が描かれていて
その作品は昭和のはじめに京都美術倶楽部の図録の記録が
あるのだそうだけれど本作品は行方不明なのだといわれる。
その後数年を経て若冲翁が手がけられた象鯨図屏風の
細やかなディテールの変化は
象の尻尾や背中を撫でる牡丹の花の優しさが加わり
描線にも尚柔らかさや細やかさが添えられていること
鯨が泳ぐ波頭の描画にも尚のこと雄大さと共に細密さが
好まれているように感じる。
年を重ねた翁のにっこりほほ笑むたたずまい。
豊潤な精神の発露として筆を運ぶ
その人の心境に勝手ながら触発される想いが許される気がする。
私が年を重ねた時
どのような境涯に差し掛かかってるだろうか。
ちいさなものへの仔細なディテールをみのがすまいと努めた
そのまなざしを極めた先にこそ
きっと雄大なものへの大らかで優美なまなざしが
待ち受けているはずなのだと教わる。
幾つになってもどのようなことも見逃さない
優れた観察のまなざしを
どのように鍛えてゆくことができるだろうか。
今年の8月には
MIHO MUSEUMの主催団体の方々にお招きいただき
夢のような時空間を共に過ごさせていただいたのだった。
木耳社さんから出版していただいているリサと共に制作した
『Lisa Vogt's White Gift』のシロクマ写真集は
今もMIHO MUSEUMのギフトショップに置いていただいている。
そのご縁を深めていただく夏のファミリーイベントで
写真展と共にシロクマ実寸大フィギュアを搬入し
リサとシロクマのトークショーをご依頼いただくこととなった。
現地制作には
東京から滋賀まで木耳社の田中社長も駆けつけてくださり
エークワッドギャラリーの岡部三知代さんにも
多大なご協力をいただく。深々と感謝。
会場は白色の壁と水色の床が美しく澄み渡った空気感に満ちていて
写真一点一点をしつらってゆくなかで不思議に環境に溶け込む。
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しかもシロクマフィギュアを設置しようとした場所から
ふっとその上を見上げると
高天井にはなんと偶然にも北斗七星のスポットライトが輝く。
シロクマくんもごきげん!
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はじめにリサがしたことは
まず北極が地球上のどこにあるのか
対する南極と何が異なるのかを伝える為に地球をふくらます。
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2日間で6000人を超える方々と交流を深める機会。
リハーサルから入念にご担当者皆様と進めさせていただく。
会場内に足を踏み入れた瞬間には何をお届けしたらよいだろう。
北極で撮影した雪原に遊ぶシロクマたちの景色をDVD編集し
私達がシロクマに寄せる音楽と共にご覧いただくこうと考えた。
事前リハーサルで会場内でそのDVDを音響さんに流していただいて
様子を確認する瞬間。会場内にOrbが広がる。
ご参加くださった皆さんに私達の思いが届けばいいのだけれど。
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主催団体の皆様の教義は「真・善・美」であると
事前にいただいた資料を拝読して知った。
その出会いにリサ共々心が満たされ喜びでいっぱいになった。
「美しいものを見なさい。」
それが主催団体の前会長の大いなる御言葉。
そのご希望にどのように叶えばよろしいのか私達は大いに緊張する。
夏のファミリーイベントの機会に
集うご家族の皆様はどのようなことを喜ばれるだろうか?
そこからリサと組み立てはじめた。
リハーサルの時
岡部さんが撮影してくださった連続記録写真。
ステージ上にOrbも応援に駆けつけたかのようで励まされる。
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主催者の方が自ら司会をしてくださるとのことで
事前打ち合わせの時
もしも南極のペンギンさんが登場したら
地球上で北極にしか棲まないシロクマくんと
地球上で南極にしか棲まないペンギンさんと
地球上の大いなる出逢いが誕生しますねと申し上げたところ
なんと完璧なペンギンさんの着ぐるみに包まれた
司会進行を実現してくださってたいへん驚いた!
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私達のシロクマくん着ぐるみは
このようなイメージでこのようなサイズでと
クリエーターの清水勝己さんに多大にご尽力いただいて
一針一針を丁寧に制作改善を繰り返してきたものながら
今回のペンギンさんの精巧緻密な仕上がりの初登場に
さすがの清水さんも「うーん、ライバルあらわる!」とぽつり。
日頃日常的に「美しいもの」をご覧になる照準の環境で培われた技は
鍛え抜かれて美しい。喜びの対面!
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今回はシロクマ絵画コンテストも併催されて
多くの方々が事前に北極シロクマをイメージされて
力あふれる作品を応募してくださっていた。
主催団体の方々の愛情あふれる企画。
そのレベルはとても高く
やはり日頃の目線が高いのだろうと学ばせていただいた。
その延長線でシロクマ写真展『White Gift』も開催していただく。
実はさまざまなドラマにあふれていて当日の開催時間直前まで
その展示は主催の方々のあたたかなまなざしの中に
たいへんスリリングな様相を呈していた。その思い出写真を一枚。
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当日のリサは実にいきいきとしていた。
シロクマの中にあって
いつものように多くを視ることはできないのだけれど
全身に響鳴するようにリサの弾む言葉が沁み込んで来た。
お招きいただいた主催の方々のホスピタリティに包まれて
なにより感謝の気持ちあふれて言葉がうまれてくるようだった。
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私達にとってほんとうに夢のようなひとときだった。
今も心の奥にそのあたたかなぬくもりが宿り続けている。
その種火をたやすことなく幾年になっても灯しつづけたい。
お招きくださいましたMIHO MUSEUM 神慈秀明会の皆様
ほんとうにありがとうございます。
1日目のトークライブが終了して
会場の方々から寄せられたアンケートを拝見した。
驚いたことに幼稚園のお子さんからご両親と共に60代・70代
80歳代の方までがメッセージを寄せてくださっている。
翌日の2日目を迎える深夜に数百枚のアンケートを拝読した。
涙がとまらなかった。
「リサさんとシロクマさんの心の交流はとても純粋ですね。
大好きという気持ちを大切にいつまでも仲良くね。(60歳)」
「どんなに工夫を重ねたのでしょうね。
とてもよかったですよ。子どもたちがいきいきしていました。
ありがとう。(60歳)」
「息がぴったりでしたね。
よくお互いのことがわかっているのでしょう。
思い合えること。そういうことが大事ですね。(70歳)」
「子供の頃の楽しい気持ちを思い出しましたよ。(80歳)」
その人生の大先輩方がリサとシロクマの心情を汲み取られ
小さな所作ひとつひとつを見抜かれていることに恐縮した。
永年『真・善・美』の教義を貫かれている方々の一言一言には
心揺さぶられる。
その清澄なる懐のお優しさに抱擁される思いがする。
そういえばPaul Winterさんの音楽に引き寄せられたのは
リサと私が出会うずっと以前。
お互いに20歳代のことだった。
それぞれにPaulさんの音楽には同じように強い印象を覚えていた。
私はニューヨークで初めて聞いたその荘厳な音が忘れられず
以降心のなかの通奏低音のように鳴り響いて来たように思う。
幾度その音をなぞったことだろう。
昨日のPaul Winterさんの演奏は
更に地球規模を描かれる壮大なメッセージに広がっていた。
鯨の歌とサックス演奏のコラボレーションに胸打たれた。
自然と共にある私達の人類の存在を投げかけ
かわらないその澄み渡った音色を奏でられていた。
このような出逢いが人生のなかには待ち受けていて
そうしてこのような日を迎えることができることの
限りない歓喜に生命の跳躍を思う。
私達の 夢 を叶えてくださったドリームランド。
勇気の魔法を与えてくださったワンダーランド。